後輩の戦力外に「僕もすぐ来るかも」 ファーム選手権先発の森唯斗が滲ませる覚悟

ソフトバンク・森唯斗【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・森唯斗【写真:荒川祐史】

森を慕う後輩の奥村が5日に戦力外通告「ゆっくり休め、と」

 ソフトバンクの森唯斗投手が、7日にひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われるファーム日本選手権(対巨人)で先発のマウンドに上がる。1軍で通算470試合に登板してきた31歳は「何があってももう最後なんで、しっかり小久保監督を胴上げして終わりたいなと思っています」と意気込んだ。

 先発に転向して挑んだ今季は怪我もあって1軍登板は6試合に終わった。多くの時間をファームで過ごす中で、声をかけ、前を向かせてくれたのが小久保2軍監督だった。「本当に2軍にいる時から気にしていただいて、もう感謝しかない。その気持ちを持って最後しっかり投げたいなと思っています」と森。2軍といえど、指揮官を日本一に立たせたいという思いが強い。

 そんな指揮官の“粋な先発通達”に奮い立った。ウエスタン優勝を決めた1日の中日戦。3イニングを無失点に抑えてベンチへ戻ると、試合中にも関わらず、選手、コーチ、スタッフがいる前でファーム日本選手権の先発を告げられた。「『合わせてくれ』って言われたので、嬉しく思いました」。

 3年ぶり優勝で、目指していた小久保2軍監督の胴上げは果たしたが、ここまで来たら日本一の座も掴み取りたい。「僕の中での一つの目標じゃないですけど、そこは達成できた。もう一つやらなければいけない目標があるんで、日本一になって、福岡に帰りたい」。リーグ優勝の時は3度だったが、今度はもっと多く指揮官を胴上げするつもりだ。

 覚悟を持ってマウンドに上がる。後輩で森を慕っていた奥村政稔投手が5日に戦力外通告を受けた。森にも連絡があったといい「本人も薄々分かっていたと思うので、とりあえず『ゆっくり休め』と言いました」。他人事ではない。プロ入りから7年連続で50試合に登板してきた鉄腕も近年は成績が低迷。今季で4年契約の最終年を迎えている。

「この世界でそういう時は絶対に誰でも来るので。僕もすぐ来るかもしれないですし、そこはわからないので。1日1日、一戦一戦無駄のないように。最後になるかもしれないんで、そこは変わらず、必死に1球1球、大事に投げていくだけだと思います」

 1球に込める思いは1軍でも2軍でも変わらない。「奥村は多分、見に来ると思うんで。最後に胴上げできるように、奥村も一緒にできるようにやりたいな、と思います」。森唯斗が様々な思いを胸にファーム日本一を決めるマウンドに上がる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)