本人にも首脳陣にも感じた「力の無さ」 石川の姿に斉藤和コーチが感じた不振の原因

日本ハム戦に先発したソフトバンク・石川柊太(中央奥)【写真:荒川祐史】
日本ハム戦に先発したソフトバンク・石川柊太(中央奥)【写真:荒川祐史】

初回は最速149キロをマークして無失点も「疲れている自分がいるのが現実」

 またしても背信のピッチングになってしまった。ソフトバンクは1日、本拠地PayPayドームで日本ハムに3-4で敗れた。先発した石川柊太投手は2回に先制を許すと、味方が逆転してくれた直後の3回に逆転3ランを被弾。3回2安打4四球4失点でKOされ、6試合連続で白星がないまま、レギュラーシーズンでの登板を終えることになった。

 悪癖が顔を覗かせた。初回は上々の立ち上がりだった。万波、田宮を連続三振。清宮に四球を与えたものの、野村を遊直に打ち取り、ストレートの最速は149キロをマークした。だが、2回先頭のアルカンタラにソロを被弾。3回には9番の細川、1番の万波に連続四球を与えて田宮に3ラン。最悪の形で一気に逆転された。

 石川は試合後、こう振り返った。「初回はやりたいことはやれて、そのあとが結果に結び付かなかった。初回20球投げたくらいで疲れている自分がいるのが現実ですし、メカニック的にも初回の感じでいけなかった。自分の中で疲れているというか、もう1回アクセルを踏み込めていない」。語る表情に苦悩の色が滲んだ。

 立ち上がりが良くとも、それが試合中になかなか続かない。そんな投球がここ最近、頻発している。斉藤和巳投手コーチは「ブルペンでは悪くないんだよ、ずっと。それがゲームで出せない。それがなぜなのか。無責任な言い方になってしまうかもだけど、最後は本人だから。この時代に精神論は御法度かもしれないけど、考え方も含めて、気持ちの部分はあると思う」と指摘した。

 8月18日の西武戦でノーヒットノーランを達成したものの、この試合を除けば、白星は5月19日の西武戦まで遡る。そこからの4か月半で16試合に先発していながらも、1勝7敗とほぼ勝てていない。好投していながら、援護なく報われない試合もあったが、四球から崩れて自滅していくパターンも多かった。

 それでも、藤本博史監督ら首脳陣は石川を先発としてマウンドに送り続けてきた。斉藤和コーチは言う。「ボール自体の力はチームの中でもある方だから。ミーティングでも割り切っていこうという話はしたけど、割り切ってもああなのか、どうなのか。答えは本人しか持ってない」。投げるボールは悪くない。にも関わらず、マウンドでそれを発揮できない。

 ジレンマに陥って苦しんでいるのも事実。ただ、その中で復調のキッカケを与えられなかったことに、斉藤和コーチは「本人が一番もどかしいだろうからね。どうにかしてやりたいと思っていろんな話をしてきたけど、本人もこっちも力の無さじゃないかな」と肩を落としていた。

 続く苦しい投球に、首脳陣も決断を下した。今季のレギュラーシーズンでの登板はこれで終了。2軍降格となり、今後は10月9日から始まる秋季教育リーグ「フェニックス・リーグ」に参加する。斎藤学投手コーチは、クライマックスシリーズに進出した場合の登板も「現状では考えにくい」としており、このまま今シーズンが終了となる可能性もある。石川にとっては、苦しんで苦しみ抜いたシーズン後半戦だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)