ソフトバンクは14日、敵地・ベルーナドームで行われた西武戦に2-4で敗れ、連勝はまたも2で止まった。先発の森唯斗投手が2回に3点を先制されると、打線は4回に中村晃外野手、今宮健太内野手の適時打で2点を返した。だが、試合を通して3併殺と繋がりを欠き、反撃できず。試合のなかった2位のロッテとの差は1ゲームに広がった。
森は2回、先頭のマキノンを中前打で出塁させると、佐藤龍、岸の連打で満塁に。愛斗の犠飛で先制を許すと、古賀には外角のカットボールを左中間へ運ばれ、これが2点適時二塁打となった。4回に中村晃、今宮の連続適時打で1点差に迫ったものの、7回の攻防が明暗を分けることになった。
7回の攻撃。先頭の中村晃が四球を選んで出塁すると、打順は、2打席目に適時打を放ち、3試合連続マルチ安打中の今宮に回ってきた。ここで藤本博史監督の繰り出した作戦は送りバント。通算367犠打を記録している名手はきっちりとこれを決めて走者を得点圏に進めた。
続く柳町達外野手は左飛に倒れて、2死二塁に。この場面で、ホークスベンチは、ここまで2打席連続で三振に終わっていた野村勇内野手に代えて川瀬晃内野手を代打に送った。守備固めでの起用がほとんどで、9月に入ってわずか3打席しか立っていない川瀬は、西武先発の今井の前に力ない左飛に凡退。同点のチャンスを逃すと、その裏、先発の森が痛い4点目を失った。
まず、好調の今宮になぜバントを指示したのか。森浩之ヘッドコーチは「なんとか同点に追いつきたい場面だった。相手の8、9回はちょっとチャンスがあると思っていたので、早めに1点をとって追いついておきたいところだった。打たさなかったから、というのはない。こっちの采配だから」と言う。そこまで3併殺。まず同点に追いつきたい。そのため、たとえ好調の今宮が打者とはいえ、手堅く得点圏に走者を進めたい、というのが思惑だった。
では、前日に右の水上から本塁打を放っていた野村勇を下げて、代打に川瀬を起用した意図はどこにあったのか。森ヘッドは「勇は2打席、今井に合ってなかったので、早めにこっちから仕掛けた。勇の内容が悪かった」と語る。スタメンで抜擢された野村勇だったが、1打席目は空振り三振、2打席目は見逃し三振と精彩を欠いており、その内容の悪さが首脳陣に代打を決断させた。
ただ、この場面、ベンチに左打者だけでも川瀬のほか、ルーキーの生海外野手、谷川原健太捕手、上林誠知外野手が控えていた。右でも勝負強い増田珠内野手や井上朋也内野手もいた。数ある選択肢の中から指揮官が川瀬を選んだのはなぜだったのか。
「(川瀬)晃か生海か、今日は晃でいったけど、勇よりはいいんじゃないか、ということ。晃ならなんとかしてくれるんじゃないか、と。今井との対戦もあったし、3打数1安打と打っていた。粘り強さもあるし、真っ直ぐに強い部分もあるんでね」
森ヘッドが挙げたのは今井との対戦経験だった。ベンチに控えていたメンバーで、今季、今井と対戦機会があるのは川瀬だけ。ここ数年を通じても川瀬と上林しかいなかった。川瀬は7月12日に北九州市民球場で行われた試合に「2番・二塁」でスタメン出場し、今井から第1打席で二塁打を放っていた。粘り強さと、この結果に首脳陣は期待を寄せたのだった。
結果的にベンチが繰り出した采配は当たらず、流れを掴み損ねたその裏に決定的な4点目を逆に奪われてしまった。5連勝した7月2日の西武戦以来、3連勝がない。この2か月超、7度、2連勝しているが、なぜか“3連勝の壁”に跳ね返され続けている。残り17試合。クライマックスシリーズを争う戦いはまだまだ続く。