武田翔太はなぜ登録抹消に? 首脳陣が突きつける厳しい評価「若いやつに任せればいいだけ」

ソフトバンク・武田翔太【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・武田翔太【写真:荒川祐史】

尾形崇斗と古川侑利が1軍昇格…武田抹消に斎藤学コーチが挙げた3つの理由

 理由を語り、明確な課題を突きつけた。ソフトバンクは28日、4人の選手を登録抹消した。投手は武田翔太投手と松本晴投手。代わって尾形崇斗投手と古川侑利投手が昇格となった。斎藤学投手コーチは「調子のいい2人を(2軍から)もらいました」と期待を込める。ファームでも好調を維持してきた2人の右腕に声がかかった一方で、なぜ、ブルペンを支えてきた武田が抹消となったのだろうか。

 尾形はウエスタン・リーグで31試合に登板して2勝0敗9セーブ、防御率0.75。小久保裕紀2軍監督からも常に昇格候補に挙げられ、その期待に応えるように結果を残してきた。古川は同リーグで25試合に登板して1勝1敗3セーブ、防御率1.01。6月1日にファーム降格となったものの、安定した結果を残してアピールを続けてきた。

 武田は今季、開幕1軍には入れず。2度の先発チャンスでも白星を掴めずファーム調整となると、6月7日にリリーフとして1軍に昇格した。ここまでリリーフとして23試合に登板して32回1/3で防御率2.78。8月8日の楽天戦(PayPayドーム)で5失点があったものの、失点は4試合と安定感を見せていた。

 ロングリリーフをはじめ、多様な中継ぎ起用ができる武田をなぜこのタイミングで抹消したのか。斎藤学投手コーチが語る。

「長続きしないんですよね。何事に対しても、見ている限りでは……。もちろんいい時はすごくいいピッチングをするし、使い勝手もいいんだけど。だと思ったら『え?』ってなってしまうと、ダメで。そのギャップが激しい。『いいから使う』という場面になると、打たれてしまう。それまでは、あまり試合の大勢に影響のないところで、いいピッチングもしていたんだけど、『ここ頼むぞ』って場面で『武田を使いませんか』っていう話をした時は全部失敗しているんですよ」

 直近の登板は27日の楽天戦(楽天モバイル)。先発の松本晴が先制を許し、なおも4回1死一、二塁のピンチでマウンドへ。村林に左前打を浴びると、阿部には押し出し四球。浅村にも適時打を許して2点を失った。1回2/3を投げて自責点はなかったものの、楽天打線を食い止めることはできず。難しい場面での登板であったことは間違いないが主導権を完全に握られてしまった。

 その前の登板は24日のロッテ戦(ZOZOマリン)だった。2点リードの6回に登板するも、2失点で同点とされた。結果的にチームも敗れただけに、大きな失点となってしまった。「そういうところでの失敗、そういう仕事ができないと武田はいらないんですよ。若いやつに任せればいいだけなので」と同コーチ。首脳陣が武田に求めているのは、ただのロングリリーフだけではないというわけだ。

「(長続きしない要因が)なんでって言われると、疲れなのか、気持ちをそこに持っていけないのか。そのどっちかだとは思うんですけど。疲れはそこまでないと思うんです。それは僕らではなんともしがたいので。ブルペンを見る限りではいつも通り。ちょっと考え込んでしまうところもあるんですけど……」

 もう1つ、理由はある。この日のオリックス戦(長崎)には勝利したものの、もう残りは31試合。上位進出のためにも“捨て試合”はない。斎藤学コーチは「先発投手が安定してきたので、あまりそこ(ロングリリーフ)に重きを置かずに短いイニングを全力でいける投手をどんどん使おうという感じ」とも説明する。藤本博史監督も3連投の“解禁”を宣言しているように、これからは中継ぎをつぎ込んで白星を拾っていく腹づもりでいる。

 8月はチームとしても黒星が先行している。尾形も古川も、気迫を前面に出して投げるスタイルなだけに「刺激を与えたいなというところもある。もちろん2人にも頑張ってほしいし、きっとみんな心身ともに(疲れているとも)思うので」と、停滞がちな空気を変えてもらうことも理由だと語った。ファーム調整が長かった2人。1軍に飢えていた気持ちを、マウンドで表現することが期待されている。

 シーズン中盤の苦しい時期、武田がブルペンにいたことで助けられたことも多かったのも事実だが、終盤戦ということもあって首脳陣は決断を下した。疲労が溜まるブルペン陣にあって、尾形と古川は救世主になることができるだろうか。

(竹村岳 / Gaku Takemura)