塁上で相手助っ人と絡みも「面識ない」 周東佑京が繰り広げた“やり取り”の中身とは?

日本ハムのハンソン(右)とやり取りをするソフトバンク・周東佑京【写真:竹村岳】
日本ハムのハンソン(右)とやり取りをするソフトバンク・周東佑京【写真:竹村岳】

8回から周東佑京が代走で出場 長谷川勇也コーチも絶賛「無理だと思った」

 ソフトバンクは11日、日本ハム戦(PayPayドーム)に7-4で勝利した。同点の8回に3点を奪い、勝ち越しに成功。決勝のホームを踏んだのは、代走から出場した周東佑京内野手だった。ベンチの“勝負手”が成功し、接戦を制してみせた。直前には、二塁上で相手選手となにやらやり取りしている様子が。中身は何だったのだろうか?

 4-4のまま、試合は8回に突入。1死から甲斐拓也捕手が四球で出塁すると、ベンチは周東を代走に送った。藤本博史監督が「勇気いりました。投手もクイックが速いんですけど、周東だったら行ってくれるだろうというところで、勝負をかけました」と話した、取っておきの“切り札”。三森大貴内野手の打席の2球目に今季22個目の盗塁を決め、1死二塁へチャンスを広げた。

 打席の三森も「1死二塁は得点圏ですから、よりチャンスの1本を打てば1点が入る場面。(1死一塁とは)そこは全然違うかなと思います」と感謝する。二盗の直後、3球目を右中間に運び、適時三塁打で勝負を決めた。

 1死一塁、ランナーは周東という場面で打席に立った三森は「僕も(打つか、待つか)あいまいだったので。長谷川(勇也打撃コーチ)の方を見たら『ちょっと待ってもいい』という感じだったので。待ちながらも、タイミングを取りながらという感じでした」と明かす。積極性が持ち味ではあるものの「そこはある意味、割り切れる。(待球策は)そんなに気にすることなく、立てていました」と周東が走者であることを生かしつつ、最高の結果につなげた。

 長谷川コーチも、周東には感謝しかない。相手投手は池田。初球は結果的に動きを見せなかった。手元のストップウォッチでも「初球の(クイックの)タイムが1.0秒台だったので、これは無理かなと思ったんですけど」と、三森が打ってつなぐことに期待していた。周東へのサインは「グリーンライト」。見事な判断で次の塁を奪った姿に「“佑京さまさま”かなって思います。よく走ってくれた」と手を叩いた。送り出すベンチにとっても、これほど頼もしいカードはない。

 適時打の直前、気になるシーンがあった。周東が二塁に進むと、日本ハムの遊撃手・奈良間がマウンドの池田に声をかけ、少しだけ間(ま)ができた。そこで周東に絡んできたのは、二塁手のハンソン。「(面識は)ないですよ」という相手の助っ人と、どんなやり取りがあったのか。

「特に何もないですよ。(ユニホームの)背中を引っ張られたから。『やめろやめろ』みたいな。しゃべってはいないですよ」

 周東は、自主トレをともにした川原田純平内野手からも「コミュニケーション能力がすごいです」と表現される。普段は接することの少ない相手助っ人と、和やかに接することができる人柄も、プレーの凄さも、垣間見せた場面だった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)