スタメン外れる日々に「しんどかった」 柳町達が漏らす本音…12連敗で感じたプロの厳しさ

ロッテ戦に出場したソフトバンク・柳町達【写真:荒川祐史】
ロッテ戦に出場したソフトバンク・柳町達【写真:荒川祐史】

「『頑張れ』と言ってくれることが原動力」柳町にとってファンの存在とは

 自分の居場所をもう一度作るために、結果を求めている。ソフトバンクは28日のロッテ戦(PayPayドーム)に5-8で敗戦した。先発の東浜巨投手が7失点と試合を作れず。追いかける展開となった中で、気を吐いたのが柳町達外野手だった。ホークスの1点目となる適時打を放ち「いつも通り、ランナーを返そうとしていただけですね」と感触を振り返る。

 東浜がいきなり初回に5失点。ロッテに主導権を渡した中で「悪くないというか、追いかけようという雰囲気でした」とベンチの空気を代弁する。そして、2回の攻撃だった。2死三塁で打席に入ると、種市のスライダーを捉えて右前に落とした。12連敗を止めた25日のオリックス戦(京セラドーム)でも2打点を記録し、出場2試合連続の打点。結果で起用に応え、反撃のムードを高めてみせた。

 7日の楽天戦(楽天生命パーク)から、チームは12連敗を喫した。7日以降、この日が15試合目で、柳町のスタメンは4試合目。アルフレド・デスパイネ外野手が指名打者で出場していたことで、先発を外れる試合が続いていた。試合前の時点で打率.256も、出塁率.368、得点圏打率.316の成績だった。チームの12連敗、そしてスタメンから外れる日々を、どんな心境で過ごしていたのか。

「僕が打てなかったので。それが出られなかった要因ですし、その中でも出た時になんとか頑張ろうと思っていました。(打撃の状態は)オールスターの前からちょっとしんどかったと思いますけど。休みが明けてからは、僕のイメージではいい形ではいたかなと思います」

「やっぱり思うようにいかない状況でも、なんとかしたいっていうみんなの気持ちとか。そういう勝ちたいって気持ちが出ていたのは、僕自身もあったと思います。その中で、ちょっと噛み合わなかったり、ほんのちょっとの差でこんなに連敗が続くんだなって。怖さも知った12連敗でした。本当に準備して、勝負に挑まないと、なかなか勝てないのが続くっていうのは感じました」

 7月打率.241という状態についてはっきりと「しんどかった」と、本音を吐いた。チームも、柳町自身も苦しんでいた中で、23日のロッテ戦(ZOZOマリン)に敗れて11連敗となった。中村晃外野手が提案して、ほとんどの選手が千葉市内の飲食店に集まった。苦しくとも一致団結しようとするチーム。柳町にとってはどんな時間だったのか。

「なかなか、普段あんまりいかない人たちと、野手だけじゃなくて投手もみんなで集まっていたので。盛り上がってもいましたし、楽しかったです。(普段いかない人を問われて)投手の人はあんまりいかないので、楽しかったですよ。けっこう飲みました」

 昨季に107試合に出場して89安打を記録。自分のバットで、1軍に居場所を作って見せた。そんな柳町が、自分の原動力について、こう表現したことがある。

「『頑張れ』といろんな人が言ってくれることが原動力じゃないかなと思います。打てなくても、ちゃんと味方になってくれる人がいますし、そういう人のためにも、自分はこうやって表に出ている人なので。届けられるじゃないですけど、結果が見られるので、いいところを見せたいなとやっぱり思いますよね」

 家族をはじめ、友達、アマチュア時代のチームメートや指導者……。応援してくれる人の存在をしっかりと感じながらグラウンドに立っている。その中で、直接の繋がりがあった人たちと、ファンは、また少し別のものだろう。柳町はファンの存在を「応援してくれると頑張れますし。喜ばせるための職業なので、そういうのも頑張ろうとは思える存在かなって思います」と表現する。

 自身でインスタグラムも愛用している柳町。「投稿はしないですけど見ていますよ」と言う。試合が終わり、帰宅。やることを済ませてからスマートフォンを手にすると、ついついインスタグラムは見てしまうそうだ。ファンからのダイレクトメッセージも、時には「あんまり見ないようにしている時もあります」というが、「でも見ちゃうものです」と声はしっかりと届いている。ファンからの応援を、いつだって力に変えていきたいからだ。

「結果がどうであろうと、SNSとか手紙とかでも、悪い日でも、SNSなら『見に来て楽しかった』とか。『スタメンで出ている姿を見られてよかった』とか。結果はどうであれ、応援してくれると励みになります。その人たちのためにも活躍したいなって思いますよね」

 2019年ドラフト5位で慶大からプロ入りした。翌年のシーズンからは、新型コロナウイルスの影響でスタンドの応援が厳しく制限された時。今季からようやく声出し応援が解禁となり「テンション上がりますよね。それこそ、ラジカセじゃないですけど、それよりは全然、生の応援の方がテンション上がります」と糧にしている。

 チームの連勝は「2」でストップした。チームの結果が最重要ではある中で、苦しい夏場、スタメンをもぎ取ろうと汗を流している若鷹はたくさんいる。柳町にとって4年目のシーズン。結果でホークスを救い、レギュラーへとなっていきたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)