“10・2”を見て上林誠知が送ったLINE 泉圭輔から伝えられた真っ直ぐな“愛”「大好きです」

ソフトバンク・上林誠知【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・上林誠知【写真:荒川祐史】

昨年10月2日のロッテ戦で泉圭輔が敗戦投手に…上林が伝えた言葉とは

 野球に対する姿勢、そしてホークスの未来を思う姿勢を、誰もが見ている。7月18日に出場選手登録を抹消となった、ソフトバンクの上林誠知外野手。今季は34試合に出場して打率.180、0本塁打、6打点。最後にスタメン出場したのは5日の日本ハム戦(PayPayドーム)で、4打数無安打1打点に終わっていた。

 今季は開幕1軍をつかむも、4月24日に2軍降格。6月に再登録されるも、同月の打率は.235と浮上の兆しを見せられなかった。7月1日の西武戦(ベルーナドーム)では延長10回に決勝打を放ったが、レギュラーをつかむまでには至らず。現在はファームでの調整が続いているが、そんな上林が後輩を思い、ホークスの未来を考えていることを伝えておきたい。

 泉圭輔投手とのエピソードだ。

 昨年5月18日にアキレス腱断裂の大怪我を負い、長期離脱となった上林。松葉杖とともに長いリハビリ生活が始まった。朝起きれば、まずは右足の確認。ベットから天井を見上げて、右足を上げて足首を動かす。劇的な回復をするはずもなく、地道な日々だった。「もう歩くのが痛かったので。(今も)朝はやっぱり痛いですよ」と、アキレス腱の周辺をほぐし、試合後にアイシングをすることは今でも日課になっている。

 ホークスは昨年10月2日のロッテ戦(ZOZOマリン)で逆転負けを喫し、リーグ優勝を逃した。リハビリの途中でその場にいることすらできなかった上林だが、チームメートが全力で戦う姿をテレビで見ていた。結果的に泉が山口に逆転3ランを浴び、そのまま敗れた。責任を背負い込んだ泉は人目を憚らず涙していた。

 翌日の3日、上林は泉にLINEをしたという。伝えたかったのは、優勝がかかった場面で投げられること自体が、尊いということだった。

「『信頼されているから、あの場面で投げさせてもらっているんだから』っていう話をした記憶はあります。最後の最後で優勝を逃してしまったけど、(泉が)必要としてもらっている感じも伝わっていたので」

 スマホ画面の半分が埋まるほどの長さで伝えた言葉だった。

 泉がホークスに入団する前年の2018年、上林は全試合出場を果たして22本塁打を記録した。泉も「寡黙でクールじゃないですか……」と、なかなか話かけられずにいた。2020年、チームが日本一になった後に食事をする機会があった。泉は「一緒にご飯を食べて、そこで『大好きなんです』って言いました」と照れくさそうに思い返す。

 実直な姿勢を、後輩は見ている。上林を突き動かすものは、背負っているものの大きさだ。「今のメンバーを見た時に、(自分が)引っ張っていかないといけない存在だとずっと思っている」。上林にとって今季は怪我を治したばかりのシーズンで、まだまだ自分の居場所を取り戻すために戦っていいはず。「『お前はどの立場で言ってるんだ』とかそういう声もあるかもしれないですけど、昔から思っていることですから」とキッパリ言う。

「去年も言ったと思いますけど、ギータさん1人に背負わせている感が、どうしても去年は見ていて思った。ギータさんももう35歳になる。次に誰が引っ張るんだって思ったら、中堅の選手が引っ張っていかないと、強くならないと思うので」

 泉も今季は3試合登板、防御率16.88の成績にとどまっている。右手薬指の細菌感染症の影響で出遅れたこともあり、5月29日に登録抹消となった。投手と野手でポジションは違えど、ホークスのために身を粉にしてきた泉と上林。後半戦に突入した今も、2人の復活をファンは待ち望んでいる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)