西田哲朗広報が語る9連敗の裏側 裏方でも「キツい」…重なった過酷な移動と不運

ソフトバンク・西田哲朗広報【写真:竹村岳】
ソフトバンク・西田哲朗広報【写真:竹村岳】

「3時間も座った後にハイパフォーマンスを…」 西田広報が代弁する日程の一部

 ソフトバンクは前半戦を43勝36敗2分けの3位で終えた。前半戦の最後は9連敗を喫し、首位のオリックスとは5.5ゲーム差となっている。3月31日のシーズン開幕から約3か月半の前半戦を、チームの近くで見守ってきた西田哲朗広報に振り返ってもらった。

 西田広報が語ったのは、コンディションの重要性だった。「いかに大事なのか、思うところはありますよね。自分のルーティンを守るとか……」。当然のことだが、選手は日々、繊細な体と向き合い続けている。11年間、現役選手としてプレーしてきた西田広報だから代弁できる選手の気持ちだ。

 何より過酷だったのが、その日程だ。ホークスの場合、大阪より東への移動は基本的に飛行機移動となる。7月4日からPayPayドームで日本ハム3連戦を戦うと、7日は午前中に仙台へと飛んで楽天戦。9日の同戦を終えると、今度は飛行機で大阪へ。そこからバスで約1時間をかけて宿舎に向かった。10日の西武戦(京セラドーム)を終えると大阪に泊まり、11日は新幹線で北九州にまで移動した。

 移動ゲームは選手にとって負担が大きい。例えば、18時に始まるベルーナドームでの西武戦なら、13時に球場に到着する。福岡空港から羽田空港まで2時間の空路、そして空港から球場までのバス移動で1時間半ほどかかる。選手はナイター翌日に、午前8時には起床しないといけない。裏方である西田広報も「体を動かすわけじゃなくてもきついですから。3時間も座った後にハイパフォーマンスを出す選手は本当にすごい」という。

 移動の方法だけでも負担は大きく違うという。「新幹線と、飛行機では全然違うんですよ。新幹線ってパッと乗り込める感覚なんですけど、飛行機は手荷物検査もあるし、気圧の関係もあって、上空で寝ていても疲れるっていうのは間違いなくある」。プロ野球選手なら避けることはできないものだが、選手はグラウンド以外でも、過酷な状況と戦っている。

 また、8日の楽天戦では悪天候で試合開始が30分遅れた。選手は試合の開始時間を逆算して準備を進めるため、「30分遅れるだけで動きってだいぶ変わるんです。そういう難しさはあった」と西田広報はいう。不運にもビジターゲーム。「ホームならお風呂に浸かってリフレッシュできる時間もあるんですけど……」と天候にも翻弄された。

 9連敗のうち、5試合は「鷹の祭典」。昨季は1勝8敗、今季もここまで0勝6敗となっている。通常の試合開催とは異なる“非日常”を楽しんでもらい、ファンに喜んでもらうためのイベントだ。その舞台裏では、コマーシャル映像の撮影やユニホームの撮影などが行われている。スタッフの協力のもと、選手もファンに喜んでもらうために時間を割いている。

 西田広報がその一部を明かす。

「他の選手もそうですけど、栗原(陵矢)は、まだ誰も(選手は)来ていない時間に球場に来て撮影をしていました。そこにはやっぱりファンの方々に喜んでもらいたい、勝っている姿を見てもらいたいっていう思いもありますから」

 ファンを喜ばせたいと考え、ホークスは日々戦っている。結果が全ての世界ではあり、9連敗は消すことのできない結果だ。ただ、戦いが進む裏側で選手がどんな苦労と思い抱えているのか、は知っておいてもらいたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)