5回途中降板のスチュワートの評価は? 斉藤和巳コーチが語った“目を瞑る覚悟”

ソフトバンク・斉藤和巳1軍投手コーチ【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・斉藤和巳1軍投手コーチ【写真:荒川祐史】

「個人的に」と前置きした上で「悲観するようなものではない」とキッパリ

 ソフトバンクは10日、京セラドームで行われた「鷹の祭典2023 in大阪」西武戦に1-2で敗れた。先発のカーター・スチュワート・ジュニア投手は2回に山野辺に適時打を浴びて先制点を奪われるなど、5回途中2失点で降板。打線は先発の隅田ら西武投手陣の前に4安打で1得点に終わり、今季3度目の4連敗となった。

 西武の揺さぶりに苦しんだ。スチュワートは2回先頭の中村を二塁への内野安打で出塁させると、2死二塁から山野辺に先制の適時打を浴びた。失点には繋がらなかったものの、3回には2死一、二塁でダブルスチールを決められ、4回にも四球で塁に出した山野辺に盗塁を決められた。

 5回には連打と四球で満塁とされ、マキノンの右前適時打で2点目を奪われて、ここで降板となった。味方の援護もなく、今季3度目の先発でも初勝利を掴めなかった右腕は「それも野球の1つだと思いますし、影響があったとは思わないけど、こういう形になっているので対応できるようにやっていきたい」と振り返った。

 走者を背負った状況でのクイックなど、細かい部分が課題とされてきたスチュワート。この日は走者を背負った状況などでボールが先行し、揺さぶりもかけられた。弱点を突かれて苦しんだ形だが、斉藤和巳1軍投手コーチは「監督がどう思うかは分からないけど、俺は別に今日の投球は悲観するようなものではないと思っている」とキッパリと言い切った。

 斉藤和コーチはこの日のスチュワートの投球をどう見たのだろうか。

「悪いなりに粘ったんじゃないかと思う。球数が多かったり、フォアボールを出したり、走られたりっていうのはもちろんあるけど、ある程度は目を瞑る覚悟でこっちは登板させている。あまり全てを要求するというところではないと思う。それを要求するんだったら、1軍に呼んでいないからね」。そもそもスチュワートの課題は織り込み済み。足で揺さぶられることは覚悟の上で、1軍で先発させているという。

 以前、斉藤和コーチは、どれだけ走者を出そうとも、走られようとも得点さえ奪わなければいい、という考えも示していた。この日も「もちろん改善はしていかないとアカンよ。ただ、ファームにいる時から少しずつ改善されてきているけど、全て改善されてるわけではないという報告を受けた上で、1軍に上げているわけだから」と語る。5回途中まで7安打3四球、3つの盗塁を許しながらの2失点は「成長だと思っている」とも評した。

 もちろん、このままに放っておいていいものではない。斉藤和コーチも「本人が目を瞑ったらアカンこと。投げながらいろいろ経験した上で、本当に大事なものやということを本人が認識しながら、少しずつ改善していければ、もっと楽に投げられるようになるかもしれない」と指摘。その一方で「全て一気に良くなるってことはない。今、調子が悪いわけではないし、それを求めて調子を落とすっていうことの方が個人的にはもったいない気がする」とも語った。

 斉藤和コーチは「個人的に」とした上で「評価は別に変わらない」と断言する。「よく耐えたなというところももちろんあるし、それだけじゃアカンというところも明確にわかってる。今日の投球は悲観するようなものではない。ちゃんといいものも、悪いものもはっきり出た。まだ発展途上の選手だとわかってこっちは上げているわけだから」とし、変わらぬ信頼も口にする。

 この日のスチュワートの登板は前半戦最終戦となる17日のオリックス戦、そして後半戦の先発ローテ入りの“試金石”でもあった。9日に先発した石川柊太投手との比較となるが、試合後、藤本博史監督は「強い球を投げているけど、ランナー出た時の投球やね」と語る。投げているボールは一級品。課題克服と並行させつつ、スチュワートは先発ローテに残れるだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)