支配下登録の期限が7月末に迫っている。育成選手たちにとってはシーズンの中でも大きな節目となるタイミング。残る3週間、焦り、危機感も抱えつつ、懸命にアピールしようとしているところだ。
ホークスは54人もの育成選手を抱えている。今季から4軍制が発足し、多くの育成選手が新たにチームに加わった。その一方で、アルフレド・デスパイネ外野手の加入によって支配下登録選手は68人に。上限70人の枠は残り2枠となっている。
では、果たしてファームの現状において、支配下昇格の候補となる選手はどの選手だろうか。ホークスの支配下昇格の基準は1軍の戦力となれるかどうか。当然、2軍を主戦場に戦い、戦力になっていることが最低条件となるはず。そこで独自に今年の支配下昇格候補をピックアップしていく。
投手でまず候補になるのが育成5年目の重田倫明投手と3年目の中村亮太投手。感染症での離脱もあった重田はここまで3試合に登板して2勝1敗、防御率3.27とまずまず。昨季、一度支配下に昇格しながら、今季再び育成契約となった中村亮はチーム最多の32試合に登板して2勝4敗、防御率3.21。2人ともシーズン終了後には制度上、自動的に自由契約になるため、そこを球団がどう判断するか。
もう1人が、手術からの復活を目指す奥村政稔投手。昨年9月に右肘手術を受け、オフに戦力外通告を受けて育成選手として再契約を結んだ。2軍に復帰後は、まだ4試合しか登板していないが、6月28日の中日戦で4回2安打無失点、7月6日の阪神戦では復帰後最長の5回を投げて2安打無失点と好投している。小久保裕紀2軍監督は「去年は1軍での実績もある選手。そこ(支配下)に返り咲くために必死でやってる姿は、もうしっかり伝わってきますね」と姿勢も評価している。
投手と比べると、野手はやや厳しいと言わざるを得ない。現状で1軍のレギュラー争いに割って入れるだけの結果を残している選手は、ほぼいない。その中でも2軍でコンスタントに試合に出場し、昇格の候補となりそうなのは仲田慶介外野手、西尾歩真内野手、勝連大稀内野手の3人だろうか。
2021年の育成ドラフトで最後の最後に指名され、今季が2年目の仲田。ここまで21試合に出場して打率.290をマークしている。外野手登録ながら二塁手、遊撃手としてもプレーし、その“ひたむきさ”も評価されている。惜しむらくはシーズン序盤の離脱。5月末から6月にかけて今宮健太内野手、川瀬晃内野手が相次いで離脱し、1軍内野陣が手薄になる時期があったが、仲田もまだ復帰前。小久保2軍監督が「タイミングが悪かった。あの離脱がなければ……」と言うほどだった。
西尾は昨年の育成ドラフト13巡目ルーキー。中京学院大時代にリーグ戦で打率4割超を3度マークしたバットコントロールが武器だ。2軍でここまで30試合に出場しているものの、打率.208と打撃面では苦しんでいる。勝連は育成野手の中で最多の、ここまで60試合に出場。安定した守備力は高く評価されている一方で、西尾同様に打率は.205と高くない。打撃面の課題をどう球団が評価するだろうか。
野手、投手を通じて筆頭候補と見込まれるのが、育成3巡目ルーキーの木村光投手だ。ここまで中継ぎ、先発としてチーム最多となる51回2/3を投げている右腕。ゲームを作る能力が高く、小久保2軍監督も「(木村光と)野手陣の3桁の選手との違いが、ちょっと出過ぎてますね。フロントもそういうふうな認識なんで」と一歩抜け出た存在として評価している。
育成から支配下への昇格の基準は1軍での戦力になれるかどうか。その基準で言うと、今季は絶対的な候補がいないのも事実。オープン戦で結果を残した川村友斗外野手は、ここ最近は3軍暮らしと振るっていない。この2枠を掴み取る若鷹は一体誰になるのか。