狙い澄ました一振りで左翼スタンドに叩き込んだ。9-3で大勝した2日の西武戦(ベルーナD)。5連勝で首位に浮上したソフトバンクに先制点をもたらしたのは、6試合ぶりにスタメンに名を連ねた野村勇内野手のバットだった。
両チーム無得点で迎えた2回だ。1死から左前安打で出塁した栗原陵矢外野手を一塁に置き、打席に入った。初球は内角低めに外れるチェンジアップ、2球目も外角高めにチェンジアップが外れた。「2球、変化球を見送ったので、もう『真っ直ぐだろう』でいきました。思い切って1、2、3で」。
隅田が投じた3球目は読み通りに147キロの真っ直ぐだった。「いったな、と思いました」。感触は十分。捉えた打球は高々と舞い上がり、左翼手の頭上を超えてスタンドへと飛び込んだ。6月17日の阪神戦で代打で放った今季初アーチ以来となる2号2ランは貴重な先制弾となった。
上林誠知外野手や周東佑京内野手、三森大貴内野手、川瀬晃内野手らと二塁、中堅のポジションを競う野村勇。チームが求める長打を打てる右打者ながら、スタメンに名を連ねるのは6月25日のオリックス戦以来、6試合ぶりだった。
「スタメンで使ってもらったときは結果を残さないと。本当にチャンスが少ないんで、絶対に結果残すっていう気持ちだけです」
現状で野村勇にスタメンのチャンスが巡ってくるのは、主に左投手が先発のとき。数少ないアピールの場だっただけに、とにかく結果にこだわった。再加入したデスパイネも近く1軍に昇格する見込みだが、「そこを考えても仕方ないんで、自分のことだけ。自分が打てばいいだけの話なんで」と胸の内を明かす。
前日は三森が2安打、川瀬は2試合続けて途中出場で価値あるヒットを放っていた。野村勇だけでなく、競争に加わる選手が次々に結果を残し、アピール合戦が続いている。もちろん野村勇にも競争のプレッシャーは少なからずかかる。
「プレッシャーあるんですけど、さっきも言った通り、人はあまり。今はもう自分が打つことだけ、周りが打っても打たなくても、自分が打つだけ。そこにあんまりプレッシャーを感じないようにしています」
自分は自分、人は人。やるべきことは自分で結果を残すだけ。野村勇はそんな意識で競争を戦っている。