逆転3ランを呼んだ“64日ぶりの四球” 長谷川勇也コーチが認める牧原大成の“長所”

ソフトバンク・牧原大成(左)【写真:竹村岳】
ソフトバンク・牧原大成(左)【写真:竹村岳】

長谷川勇也打撃コーチが語る牧原大成の長所…4月26日の楽天戦以来の四球

 貫いてきたスタイルが逆転劇に繋がった。ソフトバンクは29日の楽天戦(PayPayドーム)で3-2と逆転勝ちを収めた。2点を追いかける8回無死一、二塁で近藤健介外野手が右翼席に逆転3ラン。「最高の結果になりましたけど、つなぐ意識も持ちながら、あのボールも空振りしてもいいという気持ちで振りました」と近藤が振り返る一発を導いたのは、牧原大成内野手が選んだ四球があった。

 相手先発の岸の前に7回無失点。序盤にチャンスは作ったが、中盤以降は打ちあぐねた。楽天が継投に入った8回にようやく好機が巡ってきた。先頭の中村晃外野手が左前打。続く牧原大は四球で繋いだ。打った瞬間にスタンドインを確信する11号3ランを放った近藤は「繋いでもらっていましたし、割り切って振りました。ゲッツーだけは嫌だと思ったので、当てにいくことだけはないように」と2人に感謝した。

 逆転弾の直前、牧原大が選んだのはストレートの四球だった。3ボールからはバットを寝かせ、投球は明らかなボール。一塁に歩きながら、ランナーコーチの松山秀明内野守備走塁コーチに3本指を立てていた。実はこれが、今季3つ目の四球。4月26日の楽天戦(同)以来、64日ぶり、6月に入って初めて四球だった。試合前の時点で打率.303に対して出塁率は.322。まさに積極性が表れている数字だ。

 この数字、首脳陣はどう受け止めているのか。「すごいですよね」と驚くのは長谷川勇也打撃コーチだ。長所と受け取るのか、短所と受け取るのか。長谷川コーチはハッキリと「長所」だという。

「3つしか(四球を)選んでいないのに3割打てているのは僕からしたら不思議で、すごいなって思います。四球を取ろうとしてボールを見ようとしたら、多分、3割は打てないんじゃないですか。今の数字は残っていないと思います。打率.250とか、2割そこそこだと思いますよ」

「ボールを見ようとしすぎずに、自分の体の反応に任せて、ボールにしっかり入っていって、打ちにいった中でボールに合わせていくっていうのが彼のスタイルですから。『見る、打つ』じゃないから。打ちにいって、あとは止められるかって感じなので。そこは彼の長所です」

 長谷川コーチは現役時代に通算1108安打を放った。4409打席に立ち、四球も426個選んでいる。打ちにいく意識と、四球を奪いにいく意識の割合に「その時の状況によって、ここは四球の方がダメージがでかいだろうなっていう、試合の流れとか雰囲気、相手投手のダメージを僕は考えていました」という。全ての選手に共通する目的はチームが勝つこと。その中で牧原大にも、自分のスタイルを貫いてほしいと背中を押す。

「四球を取りに行って、自分の能力が発揮できなくなるのなら、やらない方がいい。自分のスイングに迷いが出てしまったり、ピッチャーへの集中力が薄れてしまうのなら、四球を取りに行くことはやらない方がいい。自分の打席を、自分の悔いなく終われる方が、打者としてはしっかりと目的は達成されているから。そこに集中してもらえたら」

 価値のある四球は、逆転3ランという最高の結果につながった。どこまでも自分を貫こうとする牧原大だから、首脳陣も信じて起用できる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)