ソフトバンクは30日、本拠地PayPayドームで行われた交流戦初戦の中日戦に今季最多の13得点で大勝した。初回に1点を先制すると、2回には甲斐拓也捕手が左翼フェンス直撃の適時二塁打を放つなど一挙4得点。甲斐は6回に2号2ランを放つなど、この日3安打3打点の大暴れだった。
1点リードの2回、一塁に周東佑京内野手を置き、甲斐の打球は左翼フェンスを直撃した。ボールが跳ね返る間に周東は一気に本塁へ生還。「佑京が塁に出てくれているというところで、僕も色々考えながらやっています。佑京だからだと思いますし、助かりますよね」。悠々と生還できる脚力に脱帽した。
4回の第2打席では中堅フェンスに直撃する二塁打で出塁し、6点目のホームを踏んだ。極め付けは6回の第4打席。今度は左翼ホームランテラス席へと飛び込む2号2ラン。チームの得点はこれで13点に。今季初の3安打猛打賞だった。
少しずつ、打撃の形が見えてきている。今季序盤は打率1割台に低迷。なかなか結果が出ずに、責任を感じていた。ただ、5月17日の楽天戦(山形)からの9試合で29打数11安打、打率.379。6本が長打と明らかに状態が上向いている。
「もちろん(取り組んでいることが)出ていると思います。ただ、とてもそういったことを言えるものではないので……。毎日考えてやっている状況なので、結果としていい方向にいっているのであれば継続しますし、シーズンは長いのでいい時ばかりではない。そういった時に自分の戻れる場所というのがあればな、と思って続けています」
決して多くは語ろうとしない。結果が出始めて、まだ数試合。バッティングがそんなに簡単で、単純ではないことを甲斐は痛いほど分かっている。シーズンが終わったあとに出る数字でしか評価はされない。今季もここまでチームに迷惑をかけてきた。まだ自分に言えることはないと自覚している。
昨季はレギュラー奪取後、自身ワーストとなる打率.180に終わった。チームも最終戦で優勝を逃した。あと1つでも勝っておけば……。その責任を甲斐も背負っている。「やっぱりあと1つを勝てなかった。143試合の中で、勝てた試合っていうのはたくさんあったと思う。そこは僕も感じましたし、(自身が打って)打線が機能していくっていうのは結果として出ている。そう(自分が打てば、と)思いながらやっています」。
これで甲斐が打点を挙げた試合は昨年5月から28連勝になった。騒ぎ立てる周囲を「それあまり考えてないというか、あんまりそういう風に言われるのは、僕は好きじゃない」と制す。「塁に出ればいいバッターがたくさんいる。上位に繋がっていけば、チャンスは広がるので、そう思ってやっていきたい」。シーズンが終わった時に笑うため、甲斐はバットを必死に振っていく。