先発陣の頑張りと接戦の多さで一部のリリーフ陣がなかなか登板できず
徐々に形になってきたからこそ、悩ましいところも出てきている。ソフトバンクは22日、本拠地PayPayドームで先発投手陣が練習を行った。23日の日本ハム戦(エスコン)で先発が予定されている大関友久投手らの動きに目を光らせた斉藤和巳1軍投手コーチは練習後、投手陣に対する“ある悩み”を打ち明けた。
ホークスの投手陣は、5月4日のオリックス戦で和田毅投手が4回降板して以降、13試合続けて先発投手が5回以上を投げている。週のアタマを託されている大関友久投手は、9日の日本ハム戦(熊本)で完封勝利、16日の楽天戦(岩手)で完投と2試合続けて1人で投げ切った。19日の西武戦では石川柊太投手、20日の同戦では東浜巨投手が8回途中までと、ローテの核を担う3投手が長いイニングを投げている。
先発陣が責任を果たすことはチームとしてありがたい限り。ただその一方で、斉藤和コーチには、ある懸念が出てきている。
それが中継ぎ陣の登板間隔が空いてしまうところだ。
「甲斐野もいい球を投げているけど、投げる場面がなかなか来ない。もっと投げさせたいし、昨日(21日)も状況次第ではと思っていたんだけど……。間が空くと難しいのでみんな投げさせてあげたいけど、なかなかそういう展開にならないのでね。泉(圭輔)は(1軍に上がって)まだ投げていないし、板東(湧梧)にしても古川(侑利)にしてもそう。投げさせたいけど、投げさせ過ぎてもあかんし、悩ましい」
5月は16試合のうち、13試合が3点差以内のゲーム。先発投手が6回以上を投げた試合は10試合ある。先発陣が長いイニングを投げ、終盤が接戦となれば、出ていくのは勝ちパターンの投手が中心になる。津森宥紀投手の9試合を筆頭に、大津亮介投手が7試合、リバン・モイネロ投手、ロベルト・オスナ投手、田浦文丸投手が6試合に投げる一方で、甲斐野央投手や泉圭輔投手、古川侑利投手といった勝ちパターン以外のリリーフがなかなか登板できないでいる。
甲斐野、泉は1軍に昇格してまだ間もないが、開幕から1軍にいる古川はここまでまだ5試合の登板。5月3日のオリックス戦(PayPayドーム)で2イニングを投げて以降、19日間にわたって登板機会がない。あまりに間隔が空きすぎていることから、19日には1軍の試合がありながら、タマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの広島戦で調整として登板したほどだった。
先発が踏ん張り、リリーフ陣に負担がかからないことは歓迎すべきところ。中継ぎ陣の投げさせ過ぎはもちろん厳禁だが、投げなさ過ぎも調整を難しくさせる。投手運用を任される投手コーチの立場としては、そのバランスの狭間で頭を悩ますことになるようだ。
また先発について「頑張ってくれているけど、頑張らせ過ぎて後手を踏んでしまっている部分もある。特にこの間(20日の西武戦)の(東浜)巨のところとか、あれは僕の責任なので」と続投策が裏目に出たことを猛省していた。“選手が主役”という斉藤和コーチの考え方は一貫しているが、だからこそ起用法が悩ましい。ルーキーコーチの苦悩は、これからも続いていきそうだ。
(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)