ソフトバンクは26日、本拠地PayPayドームで楽天に4-2で競り勝ち、連敗を5で止めた。先発の和田毅投手が6回途中2失点と好投。打線は3回に近藤健介外野手、柳田悠岐外野手の適時打で3点を先制し、終盤は鉄壁のリリーフ陣がリードを守り抜いた。
試合の流れを手繰り寄せた1人が、2番手としてマウンドに上がった松本裕樹投手だ。1点リードで迎えた6回だった。1死一塁で島内を一ゴロに打ち取ったところで、斉藤和巳1軍投手コーチがベンチを出た。ベンチの決断は継投。藤本博史監督が球審に松本への交代を告げた。
続く打者は、前の打席でソロ本塁打を打たれている浅村だった。点差は1点。一発を許せば逆転となる場面でベンチが送ったのが松本だ。「相手のバッターとか状況だとかを考え過ぎず、自分のいいボールを捕手に投げることだけを考えて投げました」。ポンポンと浅村を追い込むと、力のない右飛に打ち取って窮地を脱し、勝利への流れを作った。
本拠地では開幕から6連勝とした藤本博史監督は「松本は今1番頼りになるピッチャー。1点差で苦しい状況だったら松本に止めてもらおうと、それは決まっています」と全幅の信頼を口にする。斉藤和巳投手コーチも「ああいうところで流れを止めてくれる、変えてくれる投手はありがたい」と感謝していた。
昨季終盤は勝利の方程式として投げていた。今季はここまで、先発投手が残したピンチの場面での登板機会が目立つ。それも首脳陣からの信頼の証で、松本自身は「バッターを打ち取るだけでっていうところで集中して入っていけている。意外とマイナスな感情だったりっていうところはないですね」と語る。
プレッシャーのかかる場面での登板でも、かつてとは“考え方”が違う。「（以前は）しっかりていねいに投げなきゃいけない、ミスしちゃいけないと思う部分が大きかった」。昨季途中からリリーフとして大事な場面を任されるようになった。登板を重ねる中で気づいたのは「思い切って投げる、自分のいいボールを集中して投げる」ということだった。
普段はひょうひょうとしており、あまり感情を表に出すことはない。だが、マウンド上では闘志がにじみ出る。「自分の中でも出していかないといけないなっていうふうに思っているんで。1点もやらないという気持ちを常に持って（マウンドに）上がっています」。相手を圧倒するために、意識的に闘志をほとばしらせている。
斉藤和コーチが「本当はああいう使い方はしたくない。正直もったいない。（松本）裕樹の状態を考えると、1イニングを任せたい」と言うほど、松本の状態はいい。その右腕を投入するのはベンチが勝負の分かれ目だと踏んでいるから。今のチームに、松本はなくてはならない存在だ。
