上林誠知が突きつけられている“現実” 8年ぶりの左翼起用に激る決意「自分で覆す」

ソフトバンク・上林誠知【写真:竹村岳】
ソフトバンク・上林誠知【写真:竹村岳】

藤本博史監督は正木智也と比較「この2人が状態を上げてもらわないと」

 今はただ、結果を出すしかない。沸き上がる色々な感情を力に変えてグラウンドに立っている。上林誠知外野手の左翼での起用が続いている。5日のオリックス戦(京セラドーム)では「7番・左翼」で先発して4打数無安打。先発での左翼起用は2015年8月22日の楽天戦以来だったが、無難に打球を処理していた。

 6日の同戦、8日の西武戦(宮崎)でも先発から左翼を託された。8日は無安打で迎えた8回無死に一塁ベースを直撃する二塁打でチャンスを作った。だが、続く甲斐のバント失敗で三塁で憤死。「(三塁ランナーコーチの)村松さんに聞いても『いっていい』と言っていた。変に自分を追い込まないように」と反省しつつ振り返る。待望の安打にも「ああいうヒットが出ることも、運が味方してくれている」と前向きにとらえた。

 堅実かつ時にダイナミックな守備、そして強肩とファンも右翼のイメージが強い。柳田が右翼に回ってからも、中堅と右翼での出場を重ねるなどディフェンス面には定評がある。しかし、今回の左翼起用は少しばかり中身が違う。チーム状況も含めて上林自身が現在地を突きつけられている。

 4日のオリックス戦で左翼の近藤がファウルゾーンへの打球にジャンプし、着地した際に後頭部をぶつけて途中交代した。以降は「2番・DH」での起用となった。森ヘッドコーチは「基本的にレフトとライトは(近藤と柳田で)決まっている。(上林は)センターでの競争だし、センターでも周東とかと競争になる」と強調。左翼守備にも「村松(外野守備走塁)コーチもいける、と。やってもらわないと困る」と続けた。

 右翼の柳田、中堅に入る周東佑京内野手を“押し退ける”ことはできず。オープン戦では1度もなかった左翼を任されたのも、あくまで空いたポジションを埋めるような形だ。この左翼での起用を上林本人はどう受け止めているのか。

「近藤さんがDHの時は、こういうことはあり得るということ。センター、ライトを守れたら、とも思いますけど、今後の状況次第、自分次第で全てが変わると思う。自分で状況を覆していけたら。今後も準備していきたいです」

 中堅とも右翼とも景色が違うだけに「後ろの打球、切り返しが難しいです。センター、ライトではすぐにできるんですけど、変な感じがします」と語る。中堅、右翼とも違ってスローイングも近くなるだけに、距離感も含めて慣れているところだ。

 9日の西武戦(平和リース)でポジションを争う正木智也外野手は無安打だった。藤本博史監督は2人を比較し「この2人が状態を上げてもらわないと」と背中を叩く。どんな状況だろうと、もう競争に勝っていくしかない。「対応していけるように、今後も準備していきたいです」と上林。今はただ全てを受け入れて、自分の居場所は自分の力で手に入れる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)