3軍降格の育成・緒方理貢を絶賛「結構尊いこと」 小久保裕紀2軍監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】

5回2失点の板東は「(高橋)礼と甲乙つけがたい」

 ソフトバンクの2軍は30日、タマスタ筑後でのウエスタン・リーグ広島戦に1-3で敗れた。開幕ローテ6番手を争う板東湧梧投手が5回2失点。2番手の有原航平投手も4回1失点と好投した。試合後、小久保裕紀2軍監督が絶賛したのは、31日から3軍降格となる緒方理貢選手。「結構尊いこと」と、目を細めた理由とは? 指揮官のコメント全文は以下の通り。

――板東投手の内容は良かった。
「そうですね。まあ、ちょっとリチャードのエラーから悪い失点があったんですけど、前回の阪神の時よりも良かったですね、ボール自体は。真っ直ぐの強さもあってね。フォークもいいところから落ちていましたし。どうするんですかね、僕が決めることじゃないんですけど(高橋)礼と甲乙つけがたい、本当にそういうピッチングでしたね」

――ランナーを背負ってからのピッチングは。
「まあまあ、あの2点に抑えてるわけですから。しかもあれがエラーじゃなかったら、2アウトからやったら点が入ってないですからね」

――打線は3安打。
「それはお互い様ですけど、開幕ローテーションに入ってるようなピッチャーやから、そんなん打っていたら、それは1軍にいるじゃないですか。打てんからここにおるって。そんなに打てるもんじゃない」

――有原投手の投球は。
「(これまで)あまり見ていなかったんで、一緒にもやっていなかったんで、真っ直ぐがあんなに強かったんかなと思って聞いたら、強かったって言っていたんで。なんかもうちょっと変化球ピッチャーのイメージがあったんですけど、意外に真っ直ぐ強いなと思いながら見てましたけどね」

――変化球も多彩で実力のあるピッチャー。
「そりゃそうでしょう。ここにいてはアカン選手なんで、本来は……」

――三森選手は3試合ノーヒット。
「状態はもう全然、最悪でしょうね。だから、あのぐらいになったら自分でなんとか修正するものじゃないと。気になる点はいっぱいありますけど、でも、それをやるかどうかは本人ですからね。彼らの人生なんで。それを言って納得した上で取り組むなら、それはそれでいいでしょうし、まだ全然何の話もしてないです」

――落ちてきた理由を振り返って。
「1年半も2年もレギュラー張っていないんで。去年も途中外されててですね。全試合を3年出続けて、初めて1軍のレギュラー選手なんで、そこに心の隙はなかったとかっていうふうに自分で振り返ればいいって。ないって言い切れるなら頑張ればいいし、そういう慢心があったっていうのなら、またイチから作り直せばいいし。どっちにしたって、そこは自分で解決していく問題だと思うので。でも3試合見た中で、基本的には打たしてやろうと思っていましたけど、これからは普通に打順に入って、役割に応じたところではサインを出していこうと。今回は出さなかったんで。2軍の選手として扱います」

――谷川原選手のリードは。
「リードは分からん。あとから見たらなんとでも言えるやろうから、リードは高谷コーチに聞いてください。ただブロッキングとかそういうところは、練習してうまくなるしかないでしょうから」

「緒方が明日から3軍に、と昨日言っているんですけど、みんなの前でも彼の話をしたんですけどね、3軍を通達されているのに、全く変わらない姿で今日1日取り組んだってことは結構尊いことだと僕は思うんですよ。普通は悔しかったり、ふてくされたり、いつもと練習の姿が違ったり。もっと言えば、今日代打で送って、最初にセーフティバントの構えをしましたよね。普通打ちたいじゃないですか、今日で(2軍は)終わりなんやから。それを2点ビハインドで、自分の役割としてつないでっていう、次の3番のホーキンスに(回す)っていう。僕はああいうのって、生きていく中ですごい運が向くと思うんで。野球に限らず、1軍用、2軍用、侍ジャパン用、そんな野球はないよって話はずっとしてきてるんですけど、それを今日の彼は表現してくれたなと思って、立派やなと思いました」

――その中での安打。
「それもあるしね。だから、最後だからっていうことで、井出コーチに2打席与えてやってほしいっていう話の中からやったんですけど、降格告げられたバッターがセーフティーバントでつなごうという姿、代打で行ってですよ。『もう最後や、打ってしまえ』ではなく、自分の役割が変わらない姿、求められているものが変わらずにやれたっていうことは、僕はすごいことだと思いました」

――今後2軍の選手にはそういった姿をどんどん見せてほしい。
「すぐに上げてやりたいなともちろん思うし。下で頑張っていて、支配下枠、育成枠は5名ですけど、逆に支配下で成績が出ないなら(下に)行ってもらうようにして。3桁と2桁の差があるのは、実力よりもその使い勝手の良さというか、ルールの問題なんで。でも、ダメなものは、もう実力が及んでいない選手に関しては、そういうふうに判断します」

――緒形選手の降格は編成上の理由。
「そうです。外野手がちょっと多すぎて、本来は足だけでも置いといてあげたいんですけど。今、内野手の二遊間が立て続けに怪我したんで、西尾と仲田ですね。だから、もう1回、セカンドをやらせながらっていうのも考えたんですけど、外野1本で今やらせているんで。3軍行っても、多分内野をしないと人数足りないんですよ。だから、ちょっと中途半端なんですけど、今回の通達はもうしているんで。もうちょっと考えたら、明日から来る藤野を見てみて、これやったら緒方をもう1回上に呼んで、セカンドでもいいから使ってみてもいいんじゃないのっていうことになるかどうかっていうのは、また明日から見ていきたいなと思います」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)