武田翔太が広島との2軍戦で4回無失点、小久保2軍監督「めちゃくちゃいい」
ソフトバンクの武田翔太投手が29日、ウエスタン・広島戦(タマスタ筑後)で2番手として登板し、4回1安打無失点に抑えた。6回からマウンドに上がり、8回まで3イニング連続で3者凡退。9回2死で羽月に中前打を許したが、最後は持丸を右飛に仕留めて完封リレーに貢献した。
脱力したフォームから繰り出す150キロ前後の直球。変化球もカーブ、スライダー、チェンジアップを投じていた。安定した内容に小久保2軍監督も「武田、今年めちゃくちゃいいね!」と絶賛した。指揮官が「1年目の時の若々しさというか、真っ直ぐにも力が戻ってきた」と太鼓判を押せば、本人も「よかったと思います。体は仕上がっています」と納得の表情だった。
手応えを感じたのは、打者との間合いだった。「抑えよう、じゃなくて打たせるけど打たせない。クリーンヒットさせない感じです。技術じゃなくて意識の問題です」。球を長く持ったり、同じ変化球でも球速に差をつけたりなどピッチングに“老獪さ”が出てきた。着目したのは、合気道だという。
「知り合いの人が(合気道をして)いて、大竹(耕太郎、阪神)ともやっていました。打者と対戦する競技ですから、バットとボールなのか、それが拳と拳なのか。『なんとなく打たれそうだな』とか『これは投げても大丈夫だな』とか。“気”というか、それを明確にできるように。『なんとなく』だけど『なんとなく』じゃない。それが少しでもできればと思ってやっています」
合気道とは武道の1つで、体捌きや呼吸法などから生まれる技によって心身の錬成を図る。技の優劣もつけないため、試合や競技を行わないのも特徴だ。着目した理由を「直感です」というのも武田らしい。「打者からするとリズム感がないからタイミングは取りづらいと思います。錯覚するような感じです」脱力することで球にキレも生まれ「力がいらないので、イメージでいうなら130キロを投げている感覚で150キロ手前くらい」という。
合気道の練習頻度は月に1回程度だといい、昨オフから取り組み始めた。「打者を抑える目的から、アウトにすることに変わった感じです。受け流していくような」。12年目を迎えて、4月には30歳となる。今まで通ってきた全ての道のりが今、力に変わろうとしている。
開幕ローテーションには食い込むことはできず、28日から2軍落ちした。3月は激しい競争に埋もれ、オープン戦でも1試合登板、2イニングに終わり“消化不良”だった。「状態は仕上がっているので、それをもう1段階、保ちつつ向上もしていけるように」。現実を受け止め、もう一度、競争に挑む。
(竹村岳 / Gaku Takemura)