山田雄大チーフ通訳は入団17年目…通訳だから言える本音とは
ソフトバンクの山田雄大チーフ通訳は、入団して17シーズン目を迎えた。50人以上の英語圏の外国人選手と接してきた中で、努力も葛藤も一番近くで見てきた。単に言葉を訳すだけではなく、生活面まで支える存在はまさに“右腕”。異国の地で成功してもらうためには、必要不可欠な存在だ。
今季で言えば、現時点で山田通訳がほぼ1日をともにしているのはコートニー・ホーキンス外野手だ。メジャーデビューを果たせず、昨季は米独立リーグでプレーした助っ人。柳田から「めちゃくちゃいい人です」とその人柄を評価されたように、ハングリー精神と前のめりな姿勢は、周囲にまでしっかりと伝わっている。山田通訳はこう話す。
「日本に来ることができて、必死に頑張っているので。彼なんて期待されてメジャーのチームに入って、メジャーデビューはできずに独立リーグでプレーして。『野球でお金を稼ぐ第二のチャンスをいただいた』と言って、今必死に取り組んでいる。そういう姿は尊敬しています」
助っ人と呼ばれるだけに当然、周囲の期待も高い。言語が違うだけに、ファンは外国人選手と少し距離感を抱いているかもしれないが、どんな選手だって勇気を持って海を渡り、日本で成功しようと努力している。だからこそ、山田通訳が伝えたい思いは1つだ。
「外国人は活躍して当たり前だと思われていると思うんです。ファンの皆さんも期待していると思いますし、ダメだったら“ダメ外国人”とか“給料泥棒”って言われるじゃないですか。もうちょっと、優しい目で見ていただけたら嬉しいです」
努力も葛藤も貪欲な姿勢も見ている通訳だからこその本音だ。編成を担当しているわけではないが、山田通訳は「特に僕が思うのは、ホークスに外国人で入るのはすごく大変なんです」とも言う。
「今までいた(ウィリー・モー・)ペーニャとか(リック・)バンデンハークとか、(ブライアン・)ファルケンボーグとか、ホークスから他の球団にいっている。彼らが『(選手層の厚さが)全然違うぞ』と。たとえばペーニャならオリックスにいって『俺と糸井しかいない』と。ホークスなら誰々がいて、誰々がいて……そして俺がいて、と。『このチームにはそのクラスは俺と糸井しかいない』と話していました」
常勝軍団を築き、何度も優勝に貢献した助っ人の名前が次々と出た。層の厚いホークスで戦ったからこそ感じる、本音を代弁した。近年で獲得した外国人はウラディミール・バレンティン外野手やアルフレド・デスパイネ外野手、ロベルト・オスナ投手ら他球団で実績を残した選手が目立つ。“ホークスに入団する”ということは、能力や実績はもちろん、特別な意味があるんだと山田通訳は強調した。
(竹村岳 / Gaku Takemura)