3年ぶりのリーグ優勝、日本一を目指すソフトバンクが開幕に向けて調整を進めている。ここまでオープン戦9試合を戦って4勝4敗1分け。藤本博史監督は“レギュラー白紙”を掲げ、このオープン戦でも若手を中心に、外国人も巻き込んだ激しい競争が繰り広げられている。
今季のソフトバンクといえば、近年では例を見ない大型補強を行った。FAで近藤健介外野手と嶺井博希捕手を獲得。外国人では前ロッテのロベルト・オスナ投手、前阪神のジョー・ガンケル投手、さらに米独立リーグ2冠王のコートニー・ホーキンス外野手、ウイリアンス・アストゥディーヨ内野手も加わり、選手層が厚くなった。
そんな助っ人たちに感じられるのが“真面目さ”だろう。助っ人全員が2月1日から春季キャンプに参加し、積極的にチームになじもうとする姿も度々見られた。ホーキンスもアストゥディーヨも首脳陣に日々、アドバイスを求め、日本のプロ野球にアジャストできるようにとアクションを起こしていた。
近年のホークスの助っ人には真面目な選手が多い印象がある。昨季限りで退団したアルフレド・デスパイネ外野手、ジュリスベル・グラシアル内野手は言うに及ばず、デニス・サファテ投手やマット・ムーア投手、ニック・マルティネス投手、コリン・レイ投手といった面々もそう。昨年加入したフレディ・ガルビス内野手も小久保裕紀2軍監督が「クソ真面目」と評するほどだった。
ホークスは選手獲得の際にこうした人間性の部分も重要視しているのか。選手編成の責任者である三笠杉彦取締役GMは「本当に我々は選手たちを一緒に仕事をするパートナーだというふうに思っています。僕らとしては当然、自分の活躍も重要だけど、チームの勝利のためにやるべきことをスッとやれる人かどうか、みたいなことは見ています」と明かす。
プロ野球選手は個人事業主であり、極論を言えば、チームが勝てなくとも個人として成績を残せば、年俸は上がっていく。特に外国人選手にはそうした“ビジネスライク”な考えで日本に来る選手もいる。こうした“個人主義”ではなく、能力、実績はもちろん、ホークスとして求めるのはチームの勝利を第一義として考えられる選手だという。
「自分が長く活躍することと、チームの勝利に貢献することにおいて、必ずしも利害が一致しないときはあります。僕らはチームの勝利を欲していて、そのために選手に活躍してもらいたいと思っているので、チームの勝利に貢献することが大事だというマインドを持っている選手って当然重要なんです。プロスポーツの編成という仕事において、どういうことに重きを置くかというと、そういうところは見ます」
ホークスが重視する“チームプレーヤー”であるかどうか。それに関しては選手本人や代理人とコンタクトを取るだけではなかなか把握することは難しい。三笠GMも「『あなたはそういうタイプですか?』と聞いたら、みんなが『そうに決まってる』って言いますよね」という。
そのため、ホークスでは獲得に向けて調査を進める選手のプレーぶりはもちろん、公の場での発言、コメントも確認し、球団内で人間性をチェックしている。「いわゆるチームプレーヤーかどうかは議論したり、見立てるということはやっています。そういうことの結果が、何か真面目な人を取っているみたいな、そういうふうに見えるということなんじゃないかなと思います」と、三笠GMも語っている。
ガルビスは昨季、ファームでシーズンの多くを過ごすことになったが、ふてくされることもなく、なんとか日本の野球にアジャストできるようにと懸命だった。勝利に貢献するために何をすべきか。ホークスの選手獲得の根底にはこうした考えがある。