藤井皓哉を悩ませる先発と中継ぎの“ギャップ” ペース配分を考えて生じたジレンマ

ソフトバンク・藤井皓哉【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・藤井皓哉【写真:藤浦一都】

藤井皓哉投手が古巣・広島戦に登板…3回2失点で敗戦投手に

 ソフトバンクの藤井皓哉投手が4日、広島とのオープン戦(PayPayドーム)で2番手として登板し、3回を投げて2点を失った。3イニング目となった6回に2失点し「テーマを持ってマウンドに上がったんですけど、なかなか思うようにいかなかったので、反省は多いです」と課題を受け止めた。

 先発の大関友久投手のバトンを受け取り、4回からマウンドへ。4回、5回は四球を与えて走者を背負いながらも無失点にしのいだ。だが、6回に連打などで2死二、三塁のピンチを背負うと、野間に低めのフォークを中前に運ばれて2点タイムリーとなった。今季から先発転向となり、球数などペース配分を意識してマウンドに上がったものの、3四球。「合わない感じがあった」と振り返った。

 開幕まで時間も迫ってくる中で掲げたのが、スタイルの“原点回帰”だ。昨季は中継ぎとして55試合に登板し、大車輪の活躍でブルペンを支えた。長いイニングを投げるためにペース配分を意識して投げたが、「単純にタイミングが合っていない」と感覚がハマらなかった。先発登板時でも「僕はチャレンジしていくしかない」と、次回登板は1イニングに集中する中継ぎのような気持ちでマウンドに上がるように考えを変えた。

「(ペース配分を意識した今は)去年ほど腕を振っていないというか、この表現で合っているのかわからないですけど、ちょっと大人しく投げているのかなという感じです。次回はもう少し、去年のような感じでいってみてどうなるか、やってみようかなと思います」

 降板後も斉藤和巳投手コーチと言葉を交わした。「全力でいってみてもいいんじゃないか、ということで。僕もそっちでいきたいと意見が一致したので。ガス欠になるかもしれないですけど、それでもやっていこうと思いました」と明かす。四国ILの高知時代には先発も経験したが、「正直、イニングはそこまで投げていない。夏以降は6回とかで終わることもあったので」と試行錯誤している。

 今季からはスライダー、カーブの曲がり球を、より武器として使えるように練習してきた。昨季は直球とフォークを扱ってきたが、球種に関しては引き続き“先発仕様”で勝負していく。「曲がり球を入れながら、もっと腕を振るというか。去年のようなスタイルで、4つの球種を使っていきたい」と先発と中継ぎの“いいとこ取り”をして、開幕までに合わせていく。

 昨季に中継ぎとしてフルにシーズンを戦ったからこそ、向き合うことができる課題。この壁を乗り越えていければ、藤井は投手として何倍もたくましくなっていける。

(竹村岳 / Gaku Takemura)