デスパイネ&グラシアルはなぜ退団? 三笠杉彦GMが明かす理由とマーケットの変化

ソフトバンク・三笠杉彦GM【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・三笠杉彦GM【写真:福谷佑介】

2人の残留も「選択肢にもありました」というものの…

 ソフトバンクの三笠杉彦取締役GMが単独インタビューに応じた。補強戦略や“世界一構想”などについて語ったインタビューの第2弾のテーマは、長年チームに貢献したアルフレド・デスパイネ外野手、ジュリスベル・グラシアル内野手の退団について。

 ホークスはこのオフ、大型補強を敢行した。FAで近藤健介外野手、嶺井博希捕手を獲得。有原航平投手も加え、新外国人ではコートニー・ホーキンス外野手、ウイリアンス・アストゥディーヨ内野手、ロベルト・オスナ投手、ジョー・ガンケル投手も加入した。一方で2017年から6年間在籍したデスパイネ、2018年から在籍したグラシアルらがチームを去ることになった。

「当然、デスパイネとグラシアルは長くホークスに貢献をしてくれた選手。(今季の編成の)選択肢にもありました。ですが。やはり年齢的なところがありましたので、一昨年よりは去年、去年よりは今年ということで、ガッと成績が上がるかというと、どうしても年齢のところから下降線になるというところは否めないというふうに評価をした」

 デスパイネは36歳、グラシアルは37歳とベテランになり、ここ数年は怪我も多く、シーズンを通した活躍ができていなかった。また1つ年を重ねる2023年シーズン、飛躍的な成績アップが望めるかと言うと、それはなかなか難しい。そのため、フロントは外国人選手を入れ替える選択肢を選んだ。

 また、昨今の国際情勢も影響があった。2020年に新型コロナウイルスの世界的な流行が始まって以降、外国人の入国制限などがあり、新たな新外国人選手を獲得するのも難しい状況にあった。それが徐々に緩和され、コロナ前とほぼ同じように、入出国ができるようになった。

「特に外国人選手は異国に来て野球をすることでの困難が多いこの2、3年だった。それが解消され、日本でプレーすることへの懸念が少なくなり、日本でやりたいとマーケットに出てくる選手が多くなった。本来であれば毎年毎年ちょっとずつ入れ替えるみたいなところが、ウチに限らず他球団もだと思いますが、このコロナの2、3年はなかなかできなかった。結果的に今年たくさんの選手が入れ替わるということになった」

 コロナ禍では出入国に制限があり、現に選手本人が来日できても、家族は母国に残る、といった状況もあった。そうなると当然、NPBでのプレーを望む選手の絶対数は減り、補強の選択肢も限られてくる。チーム編成を取り巻く環境もこのオフは、大きく変化した。そうした外的環境面の変化も、両外国人の退団へと繋がった。

 球団から2人の正式な退団の発表はないが、三笠GMによれば、近年、球団として契約満了による自由契約、退団はアナウンスしていない。ホークスに長らく貢献したデスパイネとグラシアルの退団は寂しいものだが、別れがあれば、新たな出会いがある。早速、現在行われている春季キャンプでは2人に替わる新外国人のホーキンス、アストゥディーヨが存在感を発揮しており、この新戦力の活躍に期待したいものだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)