「みじめなオフだった」どん底を味わった高橋純平が見せる復活の兆し A組紅白戦に登板へ

ソフトバンク・高橋純平【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・高橋純平【写真:福谷佑介】

9日のシート打撃では打者のバットを次々にへし折り、ボールの強さを証

 A組昇格を虎視眈々と狙っている。ソフトバンクが宮崎市内で行う春季キャンプ。B組の中でも存在感が光っている1人が、2015年ドラフト1位の高橋純平投手だ。「正直に悔しい。そういう気持ちを今ぶつけながら練習しています」。A組から漏れた悔しさを胸に、アピールへの思いをたぎらせている。

 2019年に45試合に登板した右腕も、2020年は1軍登板なし。2021年に10試合に投げたものの、昨季は再び1軍登板なしに終わった。故障と制球難に悩まされ、本来の姿を取り戻せないままに3年が過ぎた。ドラフトでは3球団が競合した右腕も、はや8年目。崖っぷちに立たされていると言っても過言ではない。

「もちろんB組でスタートして、これまで一緒にやっていた選手はみんなA組スタートで、危機感を感じざるを得ないです」。同期入団で今もチームに残る谷川原健太捕手と川瀬晃内野手はA組スタート。B組にいる選手のほとんどは後輩たちで、否が応でも危機感が募る。もう後がない。その表情は精悍さが増した。

 9日に行われた初のシート打撃。マウンドに上がった高橋純は打者のバットを次々にへし折った。昨年の秋頃から状態は上がってきていた。フェニックスリーグでも150キロを超える剛速球を投げ込み、復調の兆しを感じさせていた。「秋から継続して球自体はいいですし、感覚もいい」。ボールの速さと強さはB組の中でもトップクラスにあり、その球威はやはり目を引く。

 チャンスが巡ってくる。14日に予定されている、キャンプ初のA組紅白戦。そこに高橋純も参加し、1イニングを投げる予定だ。A組の打者たちを相手に投げる格好のアピールの舞台。「これだけA組のピッチャーが多いキャンプですけど、自分も開幕1軍を狙っている。そういう立場で僕も挑みたいって思っているんで、どんどんアピールするつもりです」。千載一遇のチャンスに結果で応えてみせる。

「去年みたいに悔しい思いで終わらないように、本当にみじめなオフだったし、どこを振り返っても悔しいシーズンだったんで、そういう1年にならないように、2019年みたいな年にしたいですね」と今季に思いを馳せる高橋純。ポテンシャルはチームでも指折り。大輪の花を咲かせる日を、多くのファンが心待ちにしている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)