ソフトバンクの甲斐野央投手が7日、ブルペンで33球を投げて調整した。課題の制球力改善に向け、協力してくれている2人がいる。まずは斉藤和巳投手コーチとの二人三脚で「心のコントロール」がカギだと明かした。
昨季27試合に登板し、25イニングを投げて14四球。チーム四球「475」はリーグワーストで、投手陣全体で制球力の改善を課題に掲げて取り組んでいる。ポイントは、フォームをはじめとした技術面はもちろん、メンタル面にもあると斉藤和コーチから説かれている。甲斐野自身が具体的に解説する。
「(斉藤和コーチからは)心のコントロールもできるように、と。絶対に力みは出ますし、マウンドに立った時にいかに心が、頭が冷静になれるか。四球をテーマとして言われていますし、出してはいけないと思うとマイナスな部分が出てしまう。そこをうまくコントロールできるようにという話をしました」
投手の仕事は打者を抑えること。試合になれば緊張感もあふれ、相手が好打者なら四隅を狙ってしまうこともあるだろう。そこを一歩引きながら、勇気を持って、打者に向かっていく。闘争心がみなぎってくる中でも、自分を制するために「心のコントロール」が大事というわけだ。「メンタルもけっこう大事だなって感じました。毎日刺激です」と発見を繰り返している。
甲斐野の持ち味といえば、最速160キロの直球だろう。出力と、制球面。相反していそうな2つを、どうバランスを取っていくのかも重要となる。自身の性格を踏まえ「いざ打席に打者がいて、試合となると僕は出力って勝手に出るタイプなので。絶対に」。スピードは勝手に出るなら、あとはブレーキを踏む自分がいればいい。心身ともに成長を続けているところだ。
2人目がロベルト・オスナ投手だ。ともにキャッチボールをするなど、甲斐野自身も積極的に距離を縮めている。会話をする中で「『じゃあ明日キャッチボールしようぜ。いろいろ教えたるわ』みたいな。オスナから言ってきてくれて」と経緯を振り返る。MLBの元セーブ王から今、何を学んでいるのか。
「1球1球ジェスチャーしてくれて。教えてもらったことは身になりそうな感じはします。シンプルなんですけど、左肩を投げたい方向にラインを出してから。前に突っ込みがちだね、見えないところでリリースしているね、とか言われて。『とりあえず見えるところからリリースしてみればいいんじゃない?』から始まりました」
甲斐野いわく、自身のフォームはリリースの瞬間に一塁側に倒れてしまう癖があるという。オスナもその点を指摘し「じゃあなんでそうなるのかを考えてみよう」など、甲斐野自身が気がつくように言葉を送っている。「今のところいい関係性じゃないかなと思います」と、頭を下げて感謝した。2人からもらっている指導を自分の中で消化して、あとは結果につなげるだけだ。
7日はオスナの誕生日で「ハッピーバースデーと言いました。ありがとうと、日本語で言われましたね」と笑顔で話した。オスナの加入で競争が激しくなったことは間違いないが「競争がすごいのは誰が見てもわかること。こんなすごいメンバーの中で野球ができていることを改めて感じて、自分自身もやっていきたいです」。どこまでも謙虚で、前だけを見る甲斐野なら、きっと中継ぎの一角に入っていける。