「めちゃめちゃ悔しいですけど、勝っているところがないっていうところなのかな」
ソフトバンクの海野隆司捕手が26日、福岡・筑後市のファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で自主トレを行った。昨季、正捕手の甲斐拓也に次ぐ45試合でマスクを被ったものの、24日に行われた監督コーチ会議の末に、2月1日から始まる春季キャンプではB組に。これに対し「めちゃくちゃ悔しい」と悔しさを露わにし、キャンプでのアピールを誓った。
このオフは、昨年まで行っていた甲斐との自主トレを“卒業”し、筑後で1人で自主トレを続けている海野。「自分に足りないところをとにかくやるっていう、自分で考えてしっかりやるっていうことをテーマにやっています」と語り、バッティングの向上を中心に、日々練習に励んでいる。
「動作解析とかで見ると、スイングプレーンが短い。それをちょっと長くするというのを考えてやっています。いいバッターほどそれが長い、と。オーバースイングとかそんな感じじゃないですけど、自分で考えながら、キャンプでも話を聞いているんで、すり合わせながらやっています」。課題を持って臨んだ単独自主トレは気持ちの持ち方にも苦労した。
「1人だと妥協できるんで……。なので絶対に妥協しないように、手を抜かないようにっていうのがめちゃくちゃ大事だなと感じました。1人でやっていたら『まあいいだろう』みたいな気持ちになるんですけど、でも、その分、自分のやりたいことっていうのがすぐできる。それはいいかなと思います」。誰の目もない1人での自主トレ。手を抜こうと思えば、いくらでも抜けてしまう。己に厳しくい続ける難しさを感じつつも、必死に体をいじめてきた。
「拓也さんと一緒のことをやったり、周りのキャッチャーの人と一緒のことやっても勝てないと思った。量をやるしかないなって」。昨季は2番手捕手として45試合に捕手として出場したものの、甲斐の壁は厚かった。正捕手の座を狙うためには同じことをしていてもいけない。人と違うこと、人よりも多く練習することを求めて日々を過ごしている。
そんな中で24日に発表されたキャンプの組み分け。A組は甲斐、新加入の嶺井博希捕手、谷川原健太捕手、そして渡邉陸捕手の4人に。昨季、チームで2番目に多くマスクを被った海野はA組から漏れ、その名前はB組にあった。当然、驚きと悔しさが募る。「正直、『うわ』と思った」と胸中を明かすも「それが今の自分に対しての評価だと思ってやるしかない」と受け止めた。
「悔しいのは悔しいです、めちゃめちゃ。めちゃめちゃ悔しいですけど、勝っているところがないっていうところなのかなと思う。タニ(谷川原)にしても、陸にしても、ある程度バッティングもいいし、足も速いし、アピールポイントというかそういうものがある。自分は何だろうって考えたときに特に優れているっていうものがないのかなと思った」
“まさか”のB組スタートにも、落ち込んでいる暇はない。6日後にスタートするキャンプでアピールするしかない。「キャッチャーではやっぱり守備が一番大事。そこに対して信頼を勝ち取れるようにキャンプをやっていきます」。1軍を争う谷川原、渡邉陸は“攻撃型”の捕手。かたや海野は“守備型”だ。この悔しさをプレーにぶつけてアピールする。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)