想像を絶するほどの1軍の重圧と疲労 田上奏大が得た収穫と異国で学んだこと

ソフトバンク・田上奏大【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・田上奏大【写真:福谷佑介】

1軍で2試合に登板も「自分が思っていた以上の疲労を感じた」

 たった2試合しか投げていないのに想像以上に体が重かった。そしてその疲労が体から抜けていかない。今季プロ初登板を飾ったソフトバンクの高卒2年目・田上奏大投手が、初めて1軍で痛感したのは想像を絶するほどの肉体への負担、そしてそれに耐えうる体力面の重要性だった。

 4月12日のロッテ戦(長崎)でプロ初登板。6回途中無失点だった内容は「満点」と振り返ったが、その後がキツかった。「自分が思っていた以上の疲労を感じた。すごい緊張感の中でやっているんだと感じて。そういうところでもまだまだ体力がなかった」。1軍のマウンドでかかる重圧と負担を実感した。

 大阪・履正社高の3年春から本格的に投手に取り組み始め、公式戦での登板はなし。昨年もウエスタン・リーグでは1試合登板と、田上はまだまだ成長の途上にある。2試合の1軍登板後、ファームに戻っても疲労が取れない日々が1か月近くも抜けなかった。1軍とはどんなところなのか。その異次元の世界感を知れたことが何より大きかった。

 ファームで登板を重ねたシーズン終了後にはプエルトリコのウインターリーグに参加。7試合に登板して2勝3敗、防御率5.56と成績自体はふるわなかったが、得るものも大きかった。コーチが帯同しなかったこともあり、登板に向けた調整を自分で逆算して進めていく必要があったのだ。

「トレーナーさんと毎日話しながら、自分でメニューを組んでいました。逆算するのはめちゃくちゃ大事だなと感じて。この練習をしたら、次に投げる時まで(疲れが)抜けていないだろうから量を減らしたりとか、自分の体を知ることができれば、効率よく中6日で過ごしていけると学びました」

 身に起こる全てがいい経験になった。時には「急に中5日で投げてくれっていうのがあって。こっちでは中5日で投げたことはなかったんですけど」と急な登板変更に応じることもあった。充実の2ヶ月を終えて日本に帰ってきた時には、ひと回りもふた回りも、その表情は逞しさを増していた。

 25日には契約更改交渉に臨み、50万円アップの650万円でサイン。「まずは1軍で初勝利を目標にして。先発ローテの1人に入れるように頑張りたい」と頷いた。一歩ずつ階段を上がっている田上が、必ずホークスの力になる。

(鷹フル編集部)