高校時代はベンチ外でもプロへ 育成ドラ10前田純を変えたホークスOBとの出会い

育成ドラフト10位で指名を受けた前田純【写真:福谷佑介】
育成ドラフト10位で指名を受けた前田純【写真:福谷佑介】

中部商ではベンチ外も進学した日本文理大で成長を遂げた前田

 ソフトバンクに来季も新たな戦力たちが加わる。12月5日に行われた新入団選手発表会見でお披露目された支配下6人、育成14人の計20人のルーキーたち。育成ドラフト10巡目で入団した前田純投手は、身長187センチの長身から投げ下ろす真っ直ぐが武器の左腕だ。

 沖縄市出身の前田は与儀ファイターズ、美東中を経てOBに西武の山川穂高内野手らのいる中部商高へ。中学から控えで、高校時代は一度もベンチメンバーに入れなかった。進学した日本文理大で元ソフトバンクの吉川輝昭コーチの指導で成長を遂げ、今年6月に出場した全日本大学選手権でも2試合に登板している。

「自主練とかもマンツーマンで付き合ってくれて。それで自分の特徴を生かした投げ方になって、自信もついて投げられるようになりました。身長があるなら角度を付けた方がいいんじゃないかと。上から投げるのをキャッチボールから意識するようになりました。(吉川コーチが)師匠です」

 ストレートの最速は144キロと決して速いわけではないが、カーブ、スライダー、チェンジアップを駆使して緩急を生かすタイプの投手。担当の加藤領健スカウトは「緩急を武器にストレートで空振りを取れる大型左腕。出力が上がれば非常に楽しみな選手」と期待を寄せており、プロの世界での更なる成長が楽しみな選手だ。

「2軍の試合とかに投げて経験も積みたいですけど、いち早く支配下登録されて、やっぱり1軍の試合で早く投げられる投手を目指したい」と意気込む。高校時代はベンチ入りすらできなかった投手がプロの世界へ。さらに階段を駆け上がれば、これ以上ない“シンデレラストーリー”となる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)