体調不良に下痢…「死ぬんかな」 リチャードが直面した壮絶プエルトリコ生活

契約更改交渉に臨んだリチャード【写真:福谷佑介】
契約更改交渉に臨んだリチャード【写真:福谷佑介】

中盤以降は体調不良に苦しみ15試合の出場に終わったウインターリーグ

 25日に今季から160万円ダウンとなる年俸1000万円(金額は推定)で来季の契約にサインしたソフトバンクのリチャード内野手。直近までプエルトリコのウインターリーグに派遣されており、契約更改後の会見では現地での壮絶だった悪戦苦闘の生活を告白した。

 笠谷俊介投手、田上奏大投手、カーター・スチュワート・ジュニア投手と共にプエルトリコのヒガンテス・カロリーナに派遣されていた。同リーグが開幕した当初は4番を任されていたものの、なかなか結果が出ず、次第に下位に打順を落とし、スタメンから外れることも多くなった。

 結果的に15試合の出場にとどまり、打率.098、0本塁打の成績に終わった。会見では体調不良に苦しんでいたことを明かした。派遣期間の前半は出番を減らしていたが、中盤以降、チーム内で流行したインフルエンザにかかった。感じたことのない寒気に襲われ「人生で1番、2番くらいに体調を崩した。プエルトリコで死ぬんかな、死にたくないなってくらい」と数日間、苦しんだ。

 さらに空調による乾燥、水道水を口にしてしまったことで下痢にも襲われ、しばらくはプレーどころではなかった。2か月あまりの海外生活は受難の連続となったが「そういうのを乗り越えて日本に帰ってこられたので、ひと回りは成長したんじゃないかなと思います。心、めっちゃ大きくなったと思います。些細なことであまりブレないようになった」と語った。

 さらに日本の恵まれた環境のありがたみも痛感したと言う。「ホークスは筑後でも恵まれていて、いつでも練習したいと思ったらできる。ボールもきれいで、道具もいっぱいあって、バットがあって、練習ができるグラウンドがあって、マシンもある。練習をしたくても場所がない、ボールがない、そういう環境を経験できたことが、非常にこれからの自分に生きると思います」。そんな中でも野球を楽しみ、貪欲に上を目指して努力する現地の選手たちに刺激も貰った。

「来シーズンは非常に僕にとって厳しいシーズンになることは見えている。覚悟と自覚を持って、自分で物事を理解して考えて。結果にとらわれずに成長にとらわれていこうかなと思います」と決意を新たにしたリチャード。鷹のロマン砲と言われて久しい大砲候補が、このプエルトリコでの経験も糧に、来季こそ花開かせてほしいものだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)