今季、2年ぶりのリーグ優勝を目前にしながら、最終戦で頂点を逃したソフトバンク。3年ぶりのV奪還が至上命令となる来季に向け、FA市場で近藤健介外野手を獲得するなど、戦力を整備すべく積極的に補強を行っている。競争も激しく、藤本博史監督は来季のレギュラー白紙を強調している。
では、野球を科学的に分析するセイバーメトリクスの指標を用いて、ホークスのベストオーダーを探るとどうなるか。今回は守備力重視型の布陣を考察してみたい。指標はセイバーメトリクスで分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを参照した。
最も意外な結果になるのが外野だろう。左翼には新加入の近藤が入ると想定されるが、今季の数値から選ぶと、中堅は周東佑京内野手、右翼は中村晃外野手ないし柳町達外野手という選択になるのだ。
周東は今季186イニングで中堅を守り、「どれだけ失点を防いだか」を示すUZRは5.4だった。これを1000イニングに換算した「UZR1000」にすると、28.8となり、今季中堅を150イニング以上守った12球団の選手でトップになる。他球団の脅威となる快足は、守備面でも多いに生かされていると言える。
一方で意外だったのが、今季後半は中堅に定着していた牧原大成内野手だ。内野、外野を高い次元でこなし、スーパーユーティリティとして活躍したが、UZRは-2.3。同様に1000イニング換算の「UZR1000」にすると-5.2。スーパープレーを随所に見せても、指標における守備の評価は高くない。これまで中堅では10を超えるUZR1000を記録していたものの、今季はそれを大きく落とす結果になった。新加入の近藤は今季、日本ハムで中堅でもUZR3.0(UZR1000なら10.1)を記録している。
右翼は昨季686イニングを守った主砲の柳田悠岐外野手ではなく、中村晃か柳町がベストチョイスになる。一塁手でゴールデングラブ賞に輝いた中村晃だが、右翼手としてもUZRは4.0(UZR1000は39.1)。柳町もUZRは2.9(UZR1000は30.7)となり、平均以上の守備力を誇る。柳田はUZRが-7.2(UZR1000は-10.5)となっているだけに、守備面を考えると指名打者に置くのがベターか。
内野では二塁の三森大貴内野手、遊撃の今宮健太内野手で文句なし。どちらもUZR(ないしUZR1000)でもチームトップの数値となっており、守備面で見てもスタメンであるべき選手となる。三塁には来季からサードに専念する栗原が入るだろう。今季の指標で言えば、周東がUZR5.2(UZR1000は13.3)、川瀬晃内野手がUZR1.6(UZR1000は16.7)と高く、守備だけで言えば、この面々も選択肢になる。
一塁にはゴールデングラブ賞を獲得した中村晃がおり、UZRは2.9(UZR1000は4.0)だった。それ以上に高いUZRを叩き出したのは野村大樹内野手で3.3(UZR1000は30.7)。また、正木智也外野手は一塁での出場イニングはわずかだが、UZR1000換算では37.4となる。次回は守備を度外視した“超攻撃的オーダー”を考察してみたい。
【守備重視型オーダー】
捕手 甲斐拓也
一塁 正木智也or野村大樹
二塁 三森大貴or牧原大成
三塁 栗原陵矢
遊撃 今宮健太
左翼 近藤健介
中堅 周東佑京
右翼 柳町達or中村晃
DH 柳田悠岐