なぜ来季目標が勝利数ではなく「170回」? 先発転向の藤井皓哉が語るその理由

ソフトバンク・藤井皓哉【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・藤井皓哉【写真:福谷佑介】

「イニングが伸びれば、必然的に勝ち負けは出てくる」

 今季はセットアッパーとして君臨したソフトバンクの藤井皓哉投手が、来季の目標に「170イニング」を掲げた。宮崎での秋季キャンプ第4クール初日となった16日は、今キャンプで2度目となるブルペンでの投球練習を行い、習得を目指すカーブなどを交えて35球を投げ込み「プラン通りに来ていると思います」と頷いた。

 今季は中継ぎで55試合に登板して5勝1敗3セーブ22ホールドをマークし、藤本博史監督からもチームのMVPとして名前を挙げられていた。そんな右腕は来季から先発に転向。メジャーリーグ挑戦のため、チームを離れることが確実な千賀滉大投手の穴を埋めるローテ候補として、首脳陣から大きな期待を寄せられている。

 藤井はこの日、来季の目標を問われると「170イニング」と答えた。勝利数ではなく、あえてイニング数を挙げたのには、理由があった。

「リリーフを今年1年やらせてもらって、やっぱり長いイニングを投げるピッチャーがいるってことが、すごくリリーフ陣にとっても大きいなと思った。そういったことも含めてイニングが伸びれば、それだけ任される意味は増えて、勝ち負けに直結する部分も多くなってくると思う。必然的に勝ち負けってのは出てくるかなと思うんで、あえて勝ち星にしなかったのはそういうところですね」

 先発投手のイニング数はチームからの信頼の証しでもある。信頼されていれば、中盤や終盤のピンチでもマウンドを任されるようになり、必然的にイニング数は伸びていく。そうなれば、勝ち数や負け数も自然と付いてくる。勝ち負けは投手の力だけではコントロールできないもの。だからこそ、自身のリリーフとしての経験も踏まえて、藤井はイニング数を目標に掲げた。

「170」という数字については「特に計算はしなかったですけど、単純に思いついた」という。ただ、単純に1年間ローテを守り抜き、24試合に先発したとして、毎試合平均7イニング以上を投げて、ようやく辿り着ける数字。今季のパ・リーグでもオリックスの山本由伸投手と西武の高橋光成投手しかおらず“エース級”の証明とも言える。

「7回、8回投げられる、できれば完投できるピッチャーが一番いいと思うので、そういったピッチャーを目指していきたいなという思いですね。球数が少なくいけば、完投もできると思うので、そういったこところも含めてチャレンジしていきたい」。先発転向に向けて新たな球種であるカーブやカットボールの習得にも励んでいる藤井。来季、先発の柱になってくれることを期待したい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)