新型コロナでの離脱中に「色々考えていくうちに気付いたところがあった」
完全復活への道筋が見えてきた。2019年には新人王に輝いたソフトバンクの高橋礼投手。20日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグのオリックス戦で先発マウンドに上がると、最速142キロをマークし、3回を投げて2安打無失点と好投。新型コロナウイルスの陽性判定での離脱期間を経て、また変化した姿を見せた。
初回を3者凡退に封じると、2回は2死から2本の安打を許すも得点は与えず。3回には2死から四球を与えたが、危なげなく無失点に抑えた。最速142キロを計測した真っ直ぐのスピードは常時140キロ前後。2020年に左太もも裏を怪我した以降、失われていたストレートの力強さがようやく戻ってきた。課題とされていた制球面も、この日は乱れるところはなかった。
この日の投球を小久保裕紀2軍監督も高く評価した。「なんか前のいい時の真っ直ぐで押せるスタイルに近づいてきているような気はします。たぶん本人も手応えあるんじゃないですかね」とボールの力強さに目を細めつつ「そこ(コントロール)は心配ないかな。その心配は今はしてないですけどね。見てても、そういうふうな姿には見えないです」と、制球面の不安も感じなかったという。
ファーム調整中だった7月26日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けて離脱した高橋礼。ただ、このコロナでの隔離期間中が“気付き”の時間になった。「コロナになっている期間にフォームのことを色々考えていくうちに気付いたところとか、あとは今ドライブラインとかをやっていて、ちょっと改善する点があった」というのだ。
具体的に修正したポイントとはどこなのか? 「自分はアンダースローなので頭の位置が倒れていって投げるんですけど、つま先に重心がいっていた。それを修正して、若干後ろ気味にフォームを修正していく必要があった」。これが好感触だった。ボールの力強さが戻り「出力もそこそこ、力を入れずに(142が)出たのかなって思います」と手応えがあった。
この日は実戦復帰2試合目で、投じた球数は58球。次回はさらに球数を増やして調整の段階を上げる予定だ。新型コロナウイルスの陽性者の続出もあって、1軍の台所事情は厳しい。9月10日のオリックス戦からは11連戦が控えており、先発投手の頭数がどうしても必要になる。小久保裕紀2軍監督も「11連戦の辺りとかも含めて、あとコロナなんで、準備をしておかないといけない」も、谷間を埋める先発候補の1人に挙げていた。
まだ、段階を上げている最中とはいえ、高橋礼の復調気配はソフトバンクにとっては好材料であることは間違いない。今季もここまで1軍では4試合で防御率13.50。2020年に故障して以降は苦悩の日々が続いている。取り戻しつつあるボールの強さ。鷹のサブマリンの完全復活が近づいてきている。
(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)