城島アドバイザーが授けた助言は「ピッチャーへの声かけ」
ソフトバンクの2軍で存在感を発揮している21歳がいる。2018年育成ドラフト1巡目で入団し、昨季途中に支配下登録となった渡邉陸捕手だ。ウエスタン・リーグで22試合に出場し、51打数15安打1本塁打7打点、打率.294とチーム内でも高い打撃成績を残している。
29日に行われた練習中に渡邉に声をかけた人物がいる。日米通算1785試合に出場した実績を持つ城島健司会長付き特別アドバイザーだ。室内練習場で話を始めると、身振り手振りを交えてアドバイスを送っていた。
この日行われた阪神戦後に取材に応じた渡邉は城島アドバイザーからの教えの一端を明かした。「簡単に言ったらピッチャーへの声かけのところですね。もっとこうした方がいいよ、というのを言ってもらいました。例えばピッチャーが苦しいなと思ったら、タイムとって行ったり、ボールが続いたら間をあけてテンポを変えたりとか、そういうところです」。捕手としてやるべき投手への気配りの面での助言だった。
打てる捕手としての期待が高い渡邉だが、その一方でリードや城島アドバイザーから助言を受けた投手への気配りなどディフェンス面での課題は多い。1軍で捕手として戦力になるためには、ここを向上させなければならず、渡邉自身も「やっぱり守れないと上がれないと思う。打ってアピールしたいけど、守備でもアピールして勝っていきたい」と自覚する。城島アドバイザーから指摘されたポイントも「足りない、あんまりできてない、分かっていない感じだった」という。
29日の阪神戦からは3連戦全てでスタメンマスクを被る予定だが、それもこれまでにはなかったこと。捕手にとって3連戦のうち1試合だけマスクを被るのと、3連戦全てでマスクを被るのはリード面でも違いが生まれる。渡邉も「1試合で1人の打者と4打席くらい対戦する。3試合だとすると12打席くらいあるので、そこを計算しながらやるというのが難しい。3試合出るっていうのはあまり経験してなかった」と語る。
それだけ球団からの期待が大きいということだろう。打力が武器の捕手はどの球団でも重宝されるもの。今季ソフトバンクは2軍で好調な選手を積極的に1軍に昇格させており、渡邉にもチャンスが来る可能性は十分にある。「いつ呼ばれてもいいように、という気持ちで。上がったときはスタメンで出る時だと思うので、そこを想定してやっています」。4年目を迎えた渡邉は城島アドバイザーからの教えも胸に、ファームで虎視眈々と1軍昇格のチャンスを狙っている。
(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)