有田工(佐賀)から2013年ドラフト4位で楽天に入団。プロ11年で巨人、日本ハム、ソフトバンクと4球団を渡り歩いてきた。通算成績は91試合に登板して6勝15敗、防御率4.97。「最初はめちゃくちゃ寂しかったです。『あぁ、終わるんか』って……」。多くの葛藤を抱きながら、ユニホームを脱ぐことを決断した。
そんな右腕が新たな道を歩き始める。引退を決断できたのは家族の存在と、将来の夢があるからだった。「自分の持っているもの、学んできたもの、思っていたことを伝えるのが、自分には合ってるのかなと。今年1年を通して、それがより強くなった」。古川が“第2の人生”について明かした。
「アナリストとして実績を残すことができれば、道が広がるのかなって思うんです。感覚的に見て、選手にそれを伝えるっていう時代は終わってきている感じが結構あって。データを基に選手に伝えたり、動作解析とかをした上で、それを選手に落とし込めるようになったら、よりコーチとしていいなと思うので。球団からアナリストの話をいただけたことは、すごく良かったなと思います」
30歳となる節目の年を、古川は球団のアナリストとして迎える。現代プロ野球では膨大な情報を分析し、いかに駆使するかが勝利に近づくための鍵となる。多様なデータを用いて分析、研究していくのがアナリストの仕事だ。ホークスには最新鋭のテクノロジーや設備が充実している。トラックマンやラプソード、動作解析などもその一部だ。
昨年から自身の中で芽生え始めてきた感情がある。「人に教えることが好きだなっていうのを感じていたので。そっちの道もいいなって思っていました」。プロ11年の経験を活かし、将来的には投手コーチになる夢がある。
「3軍や4軍にたまに行く機会があって。その時に聞いてくれたりする後輩がいて、面白いなと。聞いてくれると僕としても嬉しいですし、僕が伝えたことを試して『こんな感じになりました』って新たな発見があったような表情とか反応をしてくれたので。面白いなって」
引退と同時に投手コーチになることは叶わなかったが、アナリストを経験することで、将来コーチになった時の幅は間違いなく広がるはずだ。さまざまな視点や、最新鋭の機器から知見を得ることは大きな意味がある。「目指すところはそこだと思っています」。アナリストとしての実績を残すことで、コーチへの道が開けることもあるだろう。
「今度はアナリストで活躍というか。選手にいい情報を伝えられたら、それはチームのため、選手のためになるので。立場は変わりますけど、チームの勝利を目指して仕事をすることは変わらないので。今はそういう気持ちですね。その中でも自分の“野望”をちょっと持ちながら」
現役への未練は断ち切った。経験したことのないアナリストという仕事。数々の困難が待ち受けていることは覚悟している。それでも新たな目標と球団への感謝を胸に、古川は第2の野球人生を進み始める。