長谷川勇也コーチと二人三脚で 小久保2軍監督も「違い感じた」谷川原健太の変化

ソフトバンク・谷川原健太【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・谷川原健太【写真:藤浦一都】

フェニックス・リーグに合流して即4打数3安打の大当たり

 ソフトバンクの谷川原健太捕手がいきなり結果を残した。29日に行われた秋季教育リーグ「宮崎フェニックス・リーグ」のロッテ戦。この日チームに合流し即スタメン出場すると、2本の長打を含む3安打1打点。その打撃には、小久保裕紀2軍監督も「ティー打撃がもう前と全然違っていたんで結構いいですね」と絶賛する“変化”が起こっていた。

 1軍の秋季練習からこの日フェニックス・リーグに合流した谷川原は「6番・左翼」でスタメン出場。2回の第1打席で右翼への二塁打を放つと、6回の第3打席では右中間への三塁打。さらに8回2死満塁のチャンスでは遊撃への適時内野安打を放ち、いきなり4打数3安打1打点と快音を響かせた。

 試合後、谷川原は「久々の打席だったですけど、自分の練習でやってるスイングができたなっていう感じです」と表情を緩めた。今季は4月22日に1軍に昇格すると、そのままシーズン終了まで1軍でプレーを続けた。捕手や外野手、代走などマルチな役割をこなせる貴重なバックアップメンバーとなっていたが、その一方で打席は75打席だけ。9月3日の西武戦でスタメン出場して以降、シーズンが終わるまでに立った打席はわずか1打席だけだった。

 なかなか打席のチャンスが来ない中で、長谷川勇也1軍打撃コーチと共にバッティング改造に取り組んでいた。「自分の癖でバットが遠回りというか、大振りになってしまうんで、ハセさんとコンパクトに打つっていうのをテーマにやってました。変えないといけないなっていうので、ハセさんと話して、動作解析で悪い結果だったので」。夏場からバットが体から離れないように打撃フォームを修正。時に長谷川コーチ付きっきりでアドバイスを貰いながら、少しずつ体に染み込ませてきた。

 練習では「打ってて飛ぶようになりましたし、バットの音とか、詰まる打球が少なくなってるっていうのは実感していた」という。とはいえ、それはあくまで練習で実戦でどんな成果が出るかは分からなかった。久々の実戦で結果が出たことで「プラスになりますし、秋季キャンプでもっとこの精度上げるっていう作業ができる」と大きな手応えも得ることができた。

 谷川原の変化に目を細めたのは他でもない小久保裕紀2軍監督だった。この日のティー打撃に励む姿から違いを感じたようで「ティーがもう前と全然違ってたんで、結構いいですね。体からバットがちょっと遠回りする感じのバッターだったんすけど、しっかり体にバットが巻き付いてくる。そこら辺は違いを感じました」と語る。

「大体悪くなって体からバットが離れるバッターに、はっきり言っていいバッターはいない。どっちかというと、タニ(谷川原)も離れて外寄りの球はかかと体重でファールにしかならんかったバッターだったのが、ずっと(体に)付いてきていた」と指揮官。この打撃の変化にはポジティブな要素を感じ取ったようだった。

 フェニックス・リーグは31日までで、その後は秋季キャンプが待ち受ける。今後の方向性について「やることが分かったし、打てるというのも分かったので、これを固めるだけです」と言う谷川原。足と守備の能力は高い。打撃面でアピールして、捕手、そして外野のレギュラー争いに殴り込みをかけたい。

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)