「守備機会、打席数、出場試合をトータルで考えた場合、こっちで出られないんだったら2軍の試合に出て打席に立つ、1球でも多く守備を捌く。試合感を養うっていう部分を考えれば、2軍の試合に出る方がいいっていう判断ですね。3選手とも」
こう語るのは奈良原ヘッドコーチだ。16人という限られた枠の中で、あくまでも現時点でのチームバランスを考慮した結果だという。「例えばだけど、笹川とかでも最後の代走の出番しかない状況であれば、2軍で打席に立って調子を上げてほしい。去年もそうだったけど、誰かに何かがあった時にすぐ1軍のゲームに入れるように」。大事な戦力だからこそ、経験を積み重ね、自信を持って1軍のグラウンドに立てる状態を作っていてほしいと願う。
もちろんキャンプからオープン戦の期間で課題も見つかった。笹川に関しては「数字を見てもわかるけど、そこまで打てていない。キャンプ中はヒットを打っていましたし、徐々にヘッドが出なくなってきたりするのであれば、もう一度向こうで調整して、いつ呼ばれてもいいような準備をしてもらいたい」と話す。現状の打撃成績と状態を踏まえ、課題克服を促した。キャンプ中は打撃でアピールできていたからこそ、万全の状態で1軍に呼ぶための準備期間とする狙いだ。
渡邉について、高谷コーチは「全体的なことに関しては、よくはなってきていて、本人もちょっとずつ変えていると思うんですけど。精度であったり、細かい所。プレーに見えない部分というか。細かい所の話はしています。準備もしっかりしていますし、取り組みもすごくよくなってきている」と確かな成長を認めつつ、更なるレベルアップの必要性を説く。
「まだまだ課題はありますけど、パスボールしないで終わったっていう試合も増えてきているじゃないですか。結果として見え始めてきているものもあるので。そういう自分になろうとしてるってことが大事。アーリーの練習もそうですけど。知らないバッターを見るのに、(相手チームの)バッティング回りをベンチの端で見たりしている姿も見ていますから」
選手の小さな努力や姿勢を見逃していないからこそ、その先の成長に期待ができる。1軍に帯同し続けることの意味も大いにあるだろうが、積み重ねてきたものを実らせるためには、試合に出続けることができる環境の方がプラスに働く。事実、昨年も1軍に昇格した選手をすぐに結果を出したシーンは何度も見られた。通達を受けた選手は現状を受け入れがたい気持ちもあるだろう。それでも彼らが再び1軍の舞台で輝きを放つ日は必ず来る。今はただその瞬間を楽しみに待ちたい。