上茶谷大河と甲斐野央は東洋大時代のチームメート…早朝の集合で“完コピ”
かつての同僚だからこそ、明確に比較ができる。ソフトバンクの上茶谷大河投手が、新天地で初めてのキャンプを過ごしている。東洋大時代のチームメートはホークスで5年間、プレーしていた西武・甲斐野央投手だ。本人も「もう僕のこの感じわかるでしょ? 央ですよ」と認めるほど。一体どれくらい、上茶谷と甲斐野は似ているのか。選手会長からは痛烈なタレこみがあった。
春季キャンプが2月1日からスタートした。初日と2日目は、あいにくの雨。朝イチの集合も室内練習場で行われた。晴天に恵まれた3日、アイビースタジアムで投手と野手が勢揃い。上茶谷は上沢とグラウンドに姿を現した。マネジャーから「集合します!」と号令がかかるまでの少しの時間、右腕が話していたのが周東佑京内野手だった。
上茶谷が始めたのは、代名詞でもあるモノマネ。セットポジションからグッと背中を丸める。ホークスファンなら誰もが見慣れた、甲斐野の“完コピ”だった。舞台裏を周東が明かす。
「僕が真似させたんじゃないですよ。『お前マジで甲斐野みたいやな』って言ったら、勝手にやり始めたのはあいつです。でも特徴を捉えていて、うまかったですね」
2023年オフ、甲斐野は人的補償で西武に指名されて、移籍が決まった。周東も「仲はいいですし、行ってほしくない気持ちも、もちろんある」と別れを惜しむなど、公私で交流が深かったからこそ“比較”ができる。「マジで甲斐野っすよ、完全に。ふざけ具合が」というのは冗談でもあり、偽りのない印象だ。1月末にファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で初対面を果たしたばかり。それまでも面識はなかったが「初めましての時からあんな感じです。もはや、すごいですよね」と笑うしかない。
甲斐野も、誰よりも明るいキャラクターの持ち主だった。一方で、2軍に降格した時には「俺、こんなもんなんや……」と、明らかに落ち込んでいる様子を見せるなど、テンションの波がある印象だった。上茶谷と比較すると、周東は「でも、央もキャンプ中とかは、まだ試合(の結果)が関わってこない時はすごかったですよ(笑)。カミチャは、まだわからないですからね」と懐かしそうに笑う。
本人も「央です」と言うのだから、周東にあえて聞いてみた。「甲斐野投手と上茶谷投手、どっちが面白いですか?」。果たして、答えは……。「甲斐野の方が面白いですね、今は(笑)」。初対面からわずか10日足らずでは、まだ選手会長の心は掴めなかった。2025年シーズン終盤、同じ質問をしてみたい。
(竹村岳 / Gaku Takemura)