明桜高から2021年ドラフト1位で入団した風間球打投手は、3年目の今季も納得のいく結果を残すことができなかった。春先には2軍で試合終盤の場面を任されるなど、首脳陣の期待も高かったが、結果的には2軍での登板は6試合のみで、計5イニングを投げて防御率5.40の成績に終わった。
入団から2年間は故障に悩まされる時期もあり、2軍戦登板すらなかった。背番号「1」を与えられた球団の期待に応えられない日々。「本当に申し訳ないです」と口にするのが精いっぱいの現状だ。
それでも3、4軍戦を含めてプロ入り後初めてフルシーズンを投げ切った今季、かすかな手ごたえも掴んだ。「いいなっていう感覚はあったりなかったりで。ないことの方が多かったんですけど、それでもある時は『今、いい感じやわー』って。それはこの2年間にはなかったものですね」。右腕が追い求めるのは、「背番号1メンタル」だ。
「高校時代のメンタルを取り戻したいというのが一番ですね。技術面は日々変わっていくんですけど、そうじゃない根本的な部分。マウンドでの立ち姿や周りからの信頼感というか……。やっぱり高校のときが一番、自信を持ってやれていたので。もう何を投げても、ボール球が続いたとしても、全然抑えられるという感覚。それをもう一度掴みたいですね」
プロに入って変わったのは、周囲の目に対しての反応だった。「きょうはコントロールがやばいとか、先頭打者を抑えないととか。細かいことを考え出したら、腕が振れなくなることが多かったので。それじゃ駄目だってわかっていても、やっぱりコーチの評価とかを考えたら、縮こまってしまって……。特に(シーズンの)後半はそうでしたね」。
日々の練習に関しても、反省する点は多かった。「僕はダイナミックに投げるフォームなので、結構色んな人から指摘されることが多くて。『力感なく投げろ』って。それを全て聞いてしまうと、自分の良さがなくなってしまう。その“ささやき”をシャットダウンできるような投球を見せないといけない。そのためにはやっぱり結果が大事ですし、姿勢も含めて全てが伴っていかないといけない」。
もちろん、全ての言葉を遮断するわけではない。取り入れるべきは取り入れつつ、自身の芯はぶらさない。「いい意味で“自己中”でいいなって。特にこの世界は。そうじゃないとやっていけないっていうのは感じました。周りを気にしても駄目だなって」。とにかく自分のことだけに集中する重要性を感じた3年間だった。
ドラフト1位の宿命とも真正面から向き合う。世間からの厳しい声はどうしても目に入る。「いろいろと言われるっすね。それはもちろん、見返してやるっていう気持ちはありますけど……。今年はもう試合が終わっちゃったので。来年は1試合1試合が本当に大事になる。もうやるだけです」
絶対的なエースとして、チームメートから全幅の信頼を置かれていた高校時代。理想はまだまだ先にあることはわかっている。まずは小さくても1歩ずつ前に進み、かつての「風間球打」を取り戻して見せる。