2019年ドラフト3位の津森宥紀も「昔から知ってるやつらで思い入れあります」
同じ年数を歩んできたのだから、ともに1軍のグラウンドに立てることはうれしい。何気ないコミュニケーションに、本心が見えた。ソフトバンクは28日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)に4-1で勝利した。先発した大関友久投手が5回1失点で6勝目を手に入れた。試合開始の直前、柳町達外野手との会話に込められていた素顔とは。
大関は3回無死、頓宮にソロアーチを浴びて先制を許す。その直後の攻撃で今宮健太内野手に適時打が生まれ、同点に追いついた。5回には今宮、周東佑京内野手の連続適時打で勝ち越し。29日は、試合がない移動日なだけに、6回からリリーフをつぎ込んで白星を拾った。「いいところも悪いところもあったんですけど、1点で粘れたのは良かったです」と大関も頷く。6月26日のオリックス戦以来、1か月ぶりの白星となった。
3回無死、中前打で先頭打者として出塁したのが柳町だった。「試合前に映像を見て、イメージ通りに打てました」。犠打で二塁へと進めてくれた海野隆司捕手も、同期入団&同学年の1人。大関や、3番手として登板した津森宥紀投手ら、2019年ドラフト組が活躍した一戦となった。試合前、柳町は大関からこんな声をかけられたという。
「大関から『97年世代が結構出ているから、97年世代で頑張ろうか』と、そんな話を2人でしていました。僕たちの年代からも引っ張っていかないと、真ん中の僕たちがしっかりやらないとチーム力も上がらないと思うので。僕たちが引っ張っていく勢いで行けたら、後半戦もいい形になっていくと思います」
大関自身は「チームで戦っていますから」と当然、最優先されるべきものはチームの勝利であることは誰よりも理解している。その上で「いつも話をするんですけど、達は僕が投げる時によく打ってくれるし、守ってくれる。今日も『97年組で行こうよ』という話はしました」と明かした。コミュニケーションの一部ではあったが、クールな大関が“同学年”という繋がりを大切にしようとしていることが伝わってきた。柳町も、大関の積極的な姿勢と言葉に驚きながらも「頑張ろうな」と答えたそうだ。
5年目を迎えた世代。柳町にも「引っ張っていく」という意識が、少しずつ芽生えている。「僕が引っ張っていく、表で何かを言うというよりは、自分がやるべきことをやって、結果を出すことで引っ張っていけるように頑張っていきたいです」。姿勢と結果で示していきたいというのは、実直な男らしい思いだ。2019年ドラフトで5位指名から入団。後輩も増えてきた中で、柳町達というヒットマンの存在が輝いている。
7回から3番手で登板した津森も、同年のドラフト3位だった1997年世代の1人だ。2死一、二塁となり、打席には代打の杉本。最後は内角直球で見逃し三振に仕留めた。「抑えに行って、打たれたら仕方ないという気持ちが勝ったんじゃないですかね。あそこで、封じ込めたっていうか、よかったなと思います」と汗を拭う。被弾すれば大関の白星が消えてしまう状況だったが「ゼキは頑張ってますし、自分が任されたポジションでもあるので、すごいしっかり抑えるっていう気持ちで投げました」と集中していた。
津森にとっても、同期の存在は大きいと語る。6月1日には1位指名だった佐藤直樹外野手が、育成から支配下選手登録をされた。「前に1回、直樹も(1軍に)おって、それで全員出た時は『全員出たな』ってみんなで喜んでました」と嬉しさを分かち合ったそうだ。プロ5年目と、それぞれが少しずつキャリアを積んできている。同期の選手たちと、ホークスの欠かせない戦力になっていきたい。
「うれしいですね。同世代っていうか、昔から知ってるやつらなので。大学の時から大関とも投げてましたし、達とも大学で勝負したり、海野も(侍)ジャパンとかで一緒だったので。大学時代から思い入れがあります。みんなが頑張ってたら、神ドラフトとかよく言われるじゃないですか。そういう風に言われるように頑張りたいなと思っています」
チームリーダーの今宮健太内野手は、首位にいる今のホークスを「挑戦者」と表現する。柳町もその思いに「挑戦者というか、僕たちはチーム内での競争に勝たないといけない。いろんな意味でも挑戦者というのは当てはまっていると思います」と呼応した。1997年世代がこれからチームを背負っていけるように、目の前の1球に全てをかけていく。
(竹村岳 / Gaku Takemura)