2三振で途中交代…川村友斗に見えた課題 首脳陣が“後悔”する指示と「言葉のチョイス」

ソフトバンク・川村友斗【写真:竹村岳】
ソフトバンク・川村友斗【写真:竹村岳】

9日のオリックス戦で左腕・田嶋に対してスタメン起用「対戦したことがあるので」

 2打席で、バットに当てられなかった。ソフトバンクは9日のオリックス戦(京セラドーム)に0-3で敗戦した。「7番・右翼」でスタメンを託されたのが、川村友斗外野手だった。2打数無安打に終わると、8回無死では代打を送られて交代した。打席での内容を、首脳陣はどのように見ていたのか、村上隆行打撃コーチが語った。「投手と対峙していなかった」と、感じてしまう様子があったようだ。

 川村のスタメンは5月31日の広島戦(みずほPayPayドーム)以来だった。2回2死二塁のチャンスで打席に立つと、相手先発の田嶋と相対する。1ボール2ストライクから、変化球に対して空振り三振に終わった。5回無死二塁ではフルカウントにまで持っていったが、同じく最後は変化球で空振り三振。オリックスバッテリーの攻めは全てスライダー、カットボールによるもので、川村はバットに当てることができなかった。

 7回2死、6番の中村晃外野手が打席に入るとネクストには正木智也外野手が控えていた。8回無死に代打を送られて、2打数無安打で交代。川村の内容について村上コーチは「勉強になった」と明かす。

「全然(ボールとの)接点がなかったですね。目付けが悪かったんだと思います。(田嶋投手とは)対戦したことがあるので、彼は。そういう接点があるような打ち方をしていけなかった。次に勉強になったかなとは思います」

 川村は6月10日に登録抹消された。その時も奈良原浩ヘッドコーチは「ちょっと、攻められ方。出れば出るほど、データが集まってしまうので、どうしても打てないところへ集中的に投げられてしまう。プロなら当たり前な話なんですけど」と、明確な課題を口にしていた。オリックスバッテリーの“変化球攻め”こそ、まさに川村が直面している壁。村上コーチも「どこも変化球で来るとは思いますよ」と同調する。

「それがわかった上で、真っすぐのタイミングで間(ま)を取らないといけない。これから成長していかないといけないところですし、その過程の中では大事なところですから。やっぱりもっとこうしないといけないというものは見つかりました。振ったらダメというのではなくて、振れるというところは次に繋がるところですから。見送り三振ではなかったですし、そこは持ち味です」

 試合前、首脳陣は相手投手に対してのアプローチを指示する。9日の試合を振り返ると「もうちょっと言い方、言葉のチョイスが難しかった。伝わりづらかったのかなというのはあります」と、村上コーチも反省する内容だった。その上で、川村の姿には「投手と対峙していなかったです。(意識が)後ろの方(捕手や審判)に行っているように見えたし、集中はできていなかったです。そこはもっと早く指示してあげられたら良かったんですけど」と、これもまた勉強になったはずだ。

 9日の試合前時点で、川村は対右投手打率.263に対し、対左投手打率.296と結果を残していた。4日の西武戦(みずほPayPayドーム)でも、左腕の武内に代打で打席で立つなど、サウスポーへのアプローチを首脳陣は評価していた。田嶋にスタメン起用したのも「(左投手に)合うかなと思いました。でも結果が出なかったというのは、投手によってもキレが違う。そこの見分けも勉強しているところです」と意図を明かす。「経験させてもらえたのはありがたかったです」と必ず糧にして、次こそは結果で応えたい。

 一夜明けた10日は正木にスタメンを譲った。試合前、川村のバッティング練習を見守った村上コーチは「今日は良かったので、反省も踏まえて練習していたと思います」と頷いた。プロ野球選手として一歩ずつ、悔しさを跳ね返して成長していく。

(竹村岳 / Gaku Takemura)