不動の4、5番による「21球の圧力」 近藤健介が分析「全体的なダメージがあったと思う」

ソフトバンク・山川穂高(左)と近藤健介【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・山川穂高(左)と近藤健介【写真:荒川祐史】

近藤が“会心の勝利”に手ごたえ「口では簡単ですけど、なかなかできない」

 ホークスの誇る「不動の4、5番」が醸し出す“圧力”が、快投を続けてきた相手先発に狂いを生じさせた。22日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)。0-1で迎えた7回1死から山川穂高内野手が死球で出塁すると、近藤健介外野手が左翼線へ二塁打を放ち、1死二、三塁とチャンスを拡大。柳町達外野手の犠飛で同点に追いついたシーンだ。

 ロッテ先発の種市篤暉投手は6回までを75球で投げ切り、ホークス打線を散発2安打、9奪三振と寄せ付けない投球を見せていた。7回1死で打席に入った山川も2球で追い込まれたが、そこから必死の形相でボールに食らいついた。11球目の直球が左腕付近に当たると、痛がるそぶりも見せずに一塁へ向かった。

 5月22日の楽天戦(京セラドーム)で2打席連続本塁打を放って以降、23試合連続ノーアーチが続くなど、本調子からは遠い主砲が見せたがむしゃらな姿。ネクストバッターズサークルから見ていた近藤は率直な思いを明かした。

ソフトバンク・近藤健介【写真:竹村岳】
ソフトバンク・近藤健介【写真:竹村岳】

「もちろん感じるものはありましたね。やっぱりチャンスが少ないピッチャーだと思っていましたし、山川さんが粘ってくれて、何とか出塁してくれたので。僕はつなぐ意識も持ちつつ、長打っていうところも考えに置いていました」

 シーズン打率.351を誇る近藤にとっても、この日の種市は「よかったですね。高さも球の強さもよかった」と認めるほどの状態だった。そんな中で近藤も10球を粘り、最後は左翼線に打球を運んだ。

 4、5番が投げさせた「21球」が種市に見えない疲労感や、わずかな感覚のずれを強く認識させる効果があったのか。その問いに近藤は「全体的にダメージはあったんじゃないですかね。あれだけ粘られて塁に出られる。疲れさせるために球数を投げさせようと打席に立ったわけではないですけど、結果そうなったのは良かったのかな」と分析した。

ソフトバンク・山川穂高【写真:竹村岳】
ソフトバンク・山川穂高【写真:竹村岳】

 山川自身も11球粘った末にもぎ取った死球には手ごたえを感じていたようだ。「種市と久しぶりに対戦しましたけど、めちゃくちゃよかったので。打席が回ってきて絶対どうにかしようと強く思っていた。追い込まれてから粘ることができたのは良かったですね」。

 思うような打撃ができない中で、気づいたのはメンタルの重要性だった。「これまでバッティングのメカニズムが大事だと思っていたんですけど、あらためて気持ちも大事だなと。今日は大津が頑張っていて、(今宮)健太が(守備で)スーパープレーをして。常に戦う気持ちを持って対戦しないとやられてしまうなと感じましたね」とうなずいた。

 チームは7回に追いつくと、8回に周東佑京内野手の勝ち越し2号ソロ、栗原陵矢内野手にも適時打が生まれ、種市を降板に追い込んだ。ホークスの地力を見せつけたかのような逆転勝ちだった。

 会心の白星に近藤も笑顔を見せた。「いい投手相手にこういう勝ち方ができる。少ないチャンスをものにして(得点を)取れるときに取るっていうのは口では簡単ですけど、なかなかできることではないので。(周東)佑京のホームランもそうですし、流れの中でいい結果になっていくのかなと思います」。球場を後にする足取りが軽かったのも当然だろう。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)