日本一へ森唯斗が先発「本人の直訴もあった」 小久保2軍監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:竹村岳】

「普段はない賞金がついているみたいなんで、しっかり賞を狙ってもらいたい」

 ソフトバンク2軍は7日、宮崎市のひなたサンマリンスタジアム宮崎で、巨人2軍とファーム日本選手権を戦う。日本一を懸けた一発勝負には、森唯斗投手が先発する。プロ10年目を迎えた31歳に先発を託した理由とは? 小久保裕紀2軍監督のコメント全文は以下の通り。

(テレビインタビュー)
――ファーム日本選手権をどんな気持ちで迎えていますか。
「僕自身も初めての舞台なんで、どういう景色になるのか。今日、公開練習を終えて、選手の動きは結構良かったなというふうに思いますね」

――天候にも恵まれました。
「結構いつもよりもフライの練習を多く。宮崎の空は福岡より青いので、非常に距離感が取りにくいっていうことを選手はみんないつも言うので、結構フライの練習が多かったですね」

――今年の戦いを振り返って。
「2軍って、ホークスだけじゃないでしょうけど、優勝が一番の目的ではないんですけど、4月は良かったです。でも、5月はもう負け越しましたし、オリックスさんがすごく強くて、直接対決で確か8連勝か7連勝くらいしたんですかね。そこで並んだり、首位になったりという展開だったんで、残り15試合は本気で優勝を目指しました」

――選手たちには、どのように言葉をかけていたんですか。
「監督になって2年、まだ一度も使ったことない言葉を使うと。『ここまで来たら優勝するぞ』って言ったら3連敗しました。想定内なんですけどね」

――先発は森投手に託した。
「ジャイアンツさんは若手のホープみたいな立場の選手なんですけど、我が軍はオールドに頼って。本来、ファーム選手権なんで若い選手だと思ったんですけど、今年1年間見たときに、なかなか大きな舞台でチャンスを与えようという選手がいなかったので、ここは森がしっかり後半戦で投げてくれていたんでね。1軍との絡みはあったんですが、投げてもらおうということで決めました」

――監督の注目選手を教えてください。
「リチャード(内野手)があまり名誉とは言えない記録、4年連続ホームラン王ですかね、2冠王を2年連続で。ちょっと後半戦、体調崩していたんですけど、明日ぶっつけ本番的でスタメン、「3番・サード」で使うんで、長打力という点では注目してもらいたいです。あとは二遊間が3桁(の背番号を)着けた小さいのが2人守ってますんで、西尾(歩真内野手)と仲田(慶介内野手)でスタメン行くみたいなんで、二遊間の動きにも注目してもらいたいですね」

――対するはジャイアンツの二岡監督です。
「個人的にはなりますけど、ジャイアンツ時代にほとんど一緒にいた選手なんで、僕らが先に優勝決めた後、連絡していて『勝て!』と言ったら、本当に勝ちました。非常に楽しみに宮崎に乗り込んできました。かつて同じ目的に向かって戦った選手が、立場が変わって、監督として戦うというね。これはまた縁で、非常に楽しみにしています」

――楽しみにしているのはファンの方も同じだと思います。最後にメッセージを。
「選手にとって、こういう大きな舞台は、そうはチャンスはないと思うんで、もちろん緊張もするでしょうけど、大きな舞台でいかに力を発揮できるかというところで、選手には果敢に攻め込んでほしいし、攻めていってほしいし。たとえね、そこで悪い結果が出たとしても、次に生かせばいいんだっていうぐらいのポジティブな気持ちで向かっていってほしいと思います」

(ペン記者囲み)
――二岡さんの話が出ましたけど、優勝が決まった後も連絡は取りましたか。
「マッチ(松田宣浩)の件もあったんで、結構、2、3日は連絡しましたかね」

――実際に対戦することになりました。
「ジャイアンツも、残り試合を勝ち続ければチャンスがあるっていう、首の皮1枚残ってます、というところからやり取りしていたんで。どうせなら二岡とやりたいな、と思い続けていたんで、実現して、別に僕らが“打って投げて”をするわけじゃないんですけど、彼と同じグラウンドで、同じ監督の立場で交えられるというのが、なんか感慨深いものがありますよね」

――やっぱり勝ちたい。
「それはもちろん。もちろんそうですけど、勝ちには行きますけど、ウエスタン・リーグの代表として選手には堂々とグラウンドに立ってもらいたいし、向こうは向こうでイースタンの代表として来るでしょうから、勝敗はどっちかにはつきますけど、ファンが見ていても、いいゲームだったなっていう試合になるように持っていきたいですね」

――森投手が先発。森投手だからこそ託したいって思いもあった。
「本人から直訴もあったんで。『投げさせてください』と言いに来ました。1軍との絡みはあったんですけど、明日は1軍がないということだったので、任せようということで任せます」

――監督から言われた、と。
「もちろん言いましたけど、その前に監督室に来て言っていたんで。最終的に決めたのは、この前に投げて、3イニングを抑えて戻ってきたときに、その時点で先発って言いました、試合中にね。日曜日の3イニングを投げ終わって戻ってきたときにベンチで言いました。野手もいる前で」

――森投手は意気に感じていた。
「みんなここまで来たら、日本一になりたいっていう思いも強いでしょうしね。先発がゲームを作ってくれるのが、まず大事だと思います」

――リチャード選手は大丈夫ですか。
「もう動けていますんで。実戦はほとんどしてないですけど、スタメンでいきます。(4年連続ホームラン王は)名誉なことじゃないと思いますけど、本人もそれはわかっているんで、これもきっかけにしながら、1軍もクライマックスシリーズがこの先ある可能性が高いんで、ここの活躍によって、ひょっとしたら呼ばれる可能性も大いにあると思いますんで、そういう場にしてほしいですね」

――明日のスタメンはコーチが決めた。
「もう今日発表しました。(監督の意向は)ないです。いつも通り、普段通りです。コーチを信頼しているんで。練習メニューを指示しなくても、コーチがきっちりやることはやってくれる。そういうのは、もう監督がやることないのが一番、できている組織だと思いますので」

――優勝前は選手の成長のためにあえてプレッシャーをかけていました。今回はどうアプローチをしますか。
「明日になってみて、朝の気分で。あまり仕込まないんで、朝の気分で言います」

――相手先発投手(松井颯投手)の対策は。
「もうバッテリーコーチとバッティングコーチに指示しているんで、どんな指示を出したかまでは知らないですけど、ちゃんとそこは指示はしています」

――本当にコーチに任せている。
「シーズン中もずっとそうだったんで、やっていく中で、これだけは入れてほしいってことは必ず入れる。その入れてほしいということも、コーチがだいぶわかっているんで。この休みのときにはこれをしないといけない、ミスが出たときには次の休みにはこれを入れておかないといけないということも、もうだいぶわかってるんで、あまり言うことないですね」

――明日が楽しみ。
「晴れ舞台ですからね。初々しい選手たちが、世間に、ファンに、自分の名前を売る機会でもあると思うんで。いっぱいアピールして、普段はない賞金がついているみたいなんで、しっかり賞を狙ってもらいたいですね」

――2軍とはいえ、ソフトバンクと巨人の対戦。
「そうですね。僕は両方のOBで、古巣でもあるんで、楽しみです。関係者も裏方さんもみんな知ってるんで」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)