今宮健太が滲ませた覚悟「やるか、やるか」 療養中に抱いた若手たちへの“願い”

ソフトバンク・今宮健太【写真:米多祐樹】
ソフトバンク・今宮健太【写真:米多祐樹】

「チームのことを考え過ぎず、若い選手にはガンガンやってほしい」

 ソフトバンクの今宮健太内野手が20日、ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で行われた2軍の練習に参加した。体調不良を訴えて、16日に特例2023で登録抹消に。5日ぶりに軽いランニングなどで汗を流した。本拠地PayPayドームで行われる21日のロッテ戦には1軍に合流する予定で「ここまで来たら、やるか、やるか、しかない」と固い決意を示した。

 今季は114試合に出場して打率.261、8本塁打、43打点。開幕以降は打撃面でも苦しんでいた時期もあったが、8月は月間打率.310、9月も.311と復調曲線を描いていた。9月は12試合で12打点。主に6番に入ってポイントゲッターとしても機能していた。5番に入っていた中村晃外野手と共に離脱となると、そこから4試合続けてチームは3得点以下に終わった。

 三森大貴内野手も含め、終盤戦での主力の大量離脱という危機的状況に。野村大樹内野手や増田珠内野手、野村勇内野手、川瀬晃内野手らがその穴を埋めようと懸命に戦ったが、なかなか結果には結びついていない。療養の最中、チームリーダーの今宮は申し訳なさを抱えつつ、戦いを見ていたという。

「なってしまったのはしょうがないっていうところもありますし、情けないところもあります。若い選手も一生懸命やっている。その中でなかなか結果が出ないのは、いろんな面があると思いますけど、チームのことを考え過ぎず、若い選手にはガンガンやってほしい、と見ていて思いました」

「チームがこういう状況だからなんとかしないといけない、とか、どうしても思うんですけどね。僕ら若い時は、あまりそういうことを考えずにやっていたので。自分のことで精一杯、目の前の試合を頑張るのみだったので、そういう気持ちで頑張ってほしいと思いました」

 今宮は常々、チームの勝敗の責任は中堅、ベテランの主力選手だけが背負うべきだと口にしてきた。若い選手がその責任を負う必要はなく、自分のためだけに必死にプレーすべきだ、と。自分たちの病によって、チームは危機的な状況になった。それでも、若い選手たちには勝敗の責任を感じないでほしい、と願った。

 戦列を離れて以降、体を動かしたのはこの日が初めて。にもかかわらず、21日には即1軍に合流する予定だという。「(ドームに)行くイコール(試合に)出る、と思います。体がしんどいとかそういうのは出てくると思いますけど、残りを考えれば少ないんで、怪我なく全力でやっていきたいと思います」。残りは13試合。2位も4位もあり得る状況で、休んでいられない、という思いがあふれる。

 療養している間も復帰のことを考えてきた。「キツかった」というほどの病状だったが、体重の減少を食い止めるために、無理をしてでも食事を摂った。「お腹がいらないと思っても、食べるようにはしていた。しんどさは残ると思うけど、残りは少ないんでやるのみ、ですよね。その一択のみ」。言葉の端々に覚悟がにじむ。

「必要とされている以上はそこに向けて全力でやるべき。そこはいい風にとらえて期待に応えられるようにしたいと思います」。決してまだ万全ではない。それでも、休んでいる場合じゃない。今宮健太が1軍に帰ってくる。

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)