大関友久が見つけつつある“方向性” 1か月以上のファーム生活で向き合う自分の「弱さ」

ソフトバンク・大関友久【写真:竹村岳】
ソフトバンク・大関友久【写真:竹村岳】

14日の阪神との2軍戦で6回5失点「自分の実力がそのまま出てしまった」

 自分の現状について、ハッキリと「弱さ」だと表現した。1か月以上続いているファーム調整の中、今の心境に迫った。ソフトバンクの大関友久投手は15日、ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」の残留練習に参加。キャッチボールや軽めのランニングで汗を流した。「確実に良くなっている」という、つかみつつある兆しとは。

 14日にはウエスタン・リーグの阪神戦(鳴尾浜)で先発登板したが、6回5失点で3敗目を喫した。4回まで無安打ピッチングも、5回には自身の暴投も絡み、4安打を集められて2失点。6回も同じく4安打で、さらに3点を失った。最速は147キロ。「最初は良かったんですけど、後半に若干球威が落ちてきたのと、自分の引き出しのなさ。3巡目、4巡目で狙い球を絞られた」と結果を受け止めている。

 6日6日に体調不良となり「特例2023」で抹消された。同29日の楽天戦(PayPayドーム)から復帰したものの、以降の6試合で白星はなかった。8月13日に再び登録抹消となり、ファーム調整の期間は1か月を越えた。体調不良を機に状態が落ちてしまったことは自身でも認識しており、8月下旬にも「要因は1つじゃない」と分析していた。少し時間が経った今、試行錯誤の段階からどんなステップを踏んでいるのか。

「確実に前進しています。新しい自分も作り始めているので、そこは心配せずにやっていますけど。それがちょっと時間かかっているかなという感じです。今迷っているわけでもないですし、確実にステップを踏んでいると思います」

 現在の取り組みについては「特別、変わったことはしていない。基本的にやることをやる上で、ひと工夫、ふた工夫して状態を上げようとしている感じです」と話す。ただ手探りだった状態から、方向性が見え始めていることは確かだ。今の状態からの改善に加えて「自分がどういう野球人生を歩むのか、とか。もう一度考え直して、方向性が見えてきた」。先を見据える目と、現状を見つめる目を使い分けながら、明確な目的を持って日々を過ごしている。

 2年目の2021年に支配下登録され、3年目の昨季には7勝を挙げた。今季には開幕投手を託され、先発ローテーションの柱としてチームの中心にいるはずだった。思わぬ形で足踏みすることになった中で「いろんな感情がありますけど、自分を見つめ直す時間もあった。いろんな弱さにも気がついたので、また成長できるかなと」と前を向く。“弱さ”という言葉の真意に踏み込むと、苦しいはずの胸中で、現状を冷静に受け入れる大関らしい答えが返ってきた。

「1つではないですけど……。今こうやって2軍でもなかなか結果を出せないっていう、それも実力じゃないですか。そもそも、そういうところをしっかりと受け入れるというか。そもそも野球選手として弱いなって思います。もちろん、このまま終わるつもりもないですけど。そこ(いい投手になること)が絶対条件です」

「まだ2年間しか1軍で投げていないですし。何かをわかったような気になっていても、それはただの過信だと思う。今の立ち位置が、自分の実力だと思うので。そこはしっかりと受け入れようかなと。こういうふうにやれば上手くいくみたいなパターンが、自分の中でも出てくるじゃないですか。それを継続してできていたと思うんですけど、それが上手くいかなくなった時にどういう対応をしていこうかというところで、まだまだ自分の力が足りていない」

 ウエスタン・リーグでは7試合に登板して1勝3敗、防御率3.94。この結果が、今の自分を映している。14日の阪神戦についても「ストレートに不安なところがまだあって。1巡目は押し切れたけど、2巡目・3巡目にどうなんだろうっていうのが頭にあって、変化球が増えてしまった。そこは自分の現状、実力がそのまま出てしまった」と振り返る。状態が落ちてしまった中で、どう出力するかが課題であることは誰よりも理解している。

「球速どうこうじゃなくて、バッターの反応的なところで。自分の投げている感覚もそうですけど……。『いい時は』っていう話ではなくて、そういう話をしていても仕方ないので。ただ自信を持ってストレートを投げられているかというところで、まだ物足りなさがある。確実に良くなっているので、次は大丈夫かなという感じはしているんですけど」

 首位のオリックスとは大きなゲーム差を開けられ、優勝は絶望的な状況。チームはクライマックスシリーズ(CS)進出を目指して、一戦一戦に向き合い続けている。「まだCSがありますし、僕もそこに加わるつもりなので。日本シリーズで優勝することだけを考えて、そのために少しずつ力になれるように、そこに集中しようと思います」。力強く、ハッキリとした口調で誓っていた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)