ソフトバンクの2軍は18日、本拠地PayPayドームで行われたウエスタン・リーグのオリックス戦に3-4で敗れ、これで7連敗となった。先発の有原航平投手は不運もあって6回途中5安打3失点。打線は育成の西尾歩真内野手が2安打1打点、リチャード内野手が3安打と結果を残したものの、競り負けた。
この試合に「1番・右翼」で起用されたのは育成の川村友斗外野手だった。オープン戦で本塁打を放つなど存在感を示しながらも支配下昇格はならず、4月23日の同リーグ・広島戦で受けた死球の影響で左肘の骨にヒビが入り、リハビリ組で練習していた。
「川村は骨が折れた時点で、骨がくっつくまで待たなくても、自分がいけると思ったら言ってこいって言っていたんで」
まだ怪我が完治したわけではない。小久保2軍監督も「レントゲンを撮ったらまだ折れていますけど、(プレー)できるから来ているんで『絶対使ってやる』って。明日からも2軍です」という。それでも川村は自ら、指揮官のもとを訪れて、実戦出場を直訴しに来たという。
現役時代には故障を抱えながらプレーしてきた小久保2軍監督だからこそのメッセージでもある。プロ野球選手たるもの、なにかしらの怪我や痛みは抱えているもの。常に競争の中にいる身で、プレーできる範囲の痛みで休んでいては、その競争を勝ち抜くことはできない。時に痛みを押してでもプレーすることもプロの世界では必要なのだと指揮官は言う。
「だって痛い痛いって言って、骨がくっつくまで待っているヤツばかりなんで。そんなヤツいらんから。『骨は後遺症はないから痛みさえ我慢できればプレーできるから、言ってこい』って言ったら、(川村は)だいぶ早く言ってきました」
川村のような育成選手であれば、それはなおさらだ。入団して3年が一区切りとなる育成契約の選手たちは、支配下契約の選手たちと比べれば、当然、現役としてプレーできる時間は短い。だからこそ、小久保2軍監督は若い選手たちに向けて想いを伝えたかった。
「(ファームの選手たちに)あまりその自覚はないです。見ていてわかるでしょう。最後に『ああ、やっておけばよかった』っていうことをなくすのが僕らの仕事。面倒くさい、うるさいことを言いますけど、(現役が)終わった時に『ああしておけばよかった』っていう、ユニホームを着てる時間だけは過ごさせたくないという思いではやっています」
怪我を押してでもプレーすることを「いや普通ですよ、普通なんです、それが」とも小久保2軍監督はいう。「あまりにもみんなゆっくりしているだけなんで」。若い選手たちに残された時間は決して長くはない。いつか来る現役を終える時に後悔がないように。1日、1分、1秒を無駄にして欲しくない、という小久保2軍監督なりのメッセージだった。