膨らんでいた感覚の“ズレ”… 登録抹消となった松本裕樹の胸中「必要とされている」

ソフトバンク・松本裕樹【写真:竹村岳】
ソフトバンク・松本裕樹【写真:竹村岳】

13日に登録抹消…鷹フルが単独取材「監督や首脳陣が話し合って決めたこと」

 期待も信頼も、しっかりと受け取っている。時間をもらったからには、責任を持って日々を過ごすつもりだ。松本裕樹投手は13日に出場選手登録を抹消された。16日、ウエスタン・リーグのオリックス戦がPayPayドームで行われ、松本裕は東浜巨投手ら1軍管轄の投手陣と練習をともにした。「監督や首脳陣が話し合って決めたこと。前向きにとらえて、切り替えてやっていきたいと思います」と心境を語った。

 10日の日本ハム戦(PayPayドーム)で登板すると、2死一塁からマルティネスに逆転2ランを許した。続くアルカンタラにもソロアーチと、3失点で敗戦投手となった。藤本博史監督は10日の試合後に「責められないです。使った僕が悪い」と松本裕を庇ったが、12日のオリックス戦(京セラドーム)でも6回に登板して若月、小田に連打を浴びて降板。13日への登録抹消につながった。

 球速自体は、150キロ前後を計測するなど変化は見られなかった。2試合連続でピシャリと結果を残せなかった要因を、本人はどう受け止めているのか。鷹フルは本人を単独で取材した。

「自分の中でしっくりきていない部分がだんだん増えてきていた。球速だけ、数字だけ出ているような感覚ではありました。体がうまく連動して、順番に動いていなくて。それを無理矢理に腕を振って、体を使ってというところで数字が出ているだけだった」

 今季は16試合に登板した。開幕して以降、12試合連続で無失点を記録するなど結果は残していた一方で、自分の中の感覚と実際の体の動きに“ズレ”を感じ始めていた。「動かしたい部分がうまく動いてくれなくて、そういうのが積み重なった感じです」と受け止めている。少し時間が経った今だから、冷静に反省して、次につなげようとしている。

「しっかりとメリハリを持ってできればよかったかなというのは自分の中でもあります。登板数だけではない部分でも、自分の中でももう少しやれることはあったかなと思いますね」

 藤本監督からも「『チームとして、必要になってくる。また帰ってきて、いいピッチングを』と言われました」と明かす。降格ではなく、リフレッシュの意味合いが強いだけに、首脳陣からの信頼もしっかり受け取っている。「10日間というところで調整をどうするか。単純に『2軍に行ってこい』ということではなく、任されている部分もあったので。僕が最短で、いい状態で戻れることをみんなで考えてくれたと思っています」と目標は明確だ。

「今まではそういうことがなかったので、やってきたことは間違いじゃないと思いますし、チームに必要とされていることは改めて感じました」

 調子が下降線をたどっていたことは自覚している。「前半でしかこういうことはできないと思いますので。先にこういうことができたことはプラスにとらえたい」と前を向くしかない。今後の取り組みにも「疲労とかを抜きつつ、しっかりと動かすというか。同じことにならないように、トレーニングで動きを見直していくことが大事だと思います」と見据えていた。自分自身と向き合って、1日でも早く1軍に戻ってみせる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)