小久保監督が真っ先に挙げたのは守備面「スローイングは2軍でダントツ」
猛アピールが続いている。ソフトバンクの育成2年目・川村友斗外野手が支配下昇格へ近づいている。2軍から1軍へと参加すると、オープン戦初出場となる5日の広島戦で2打数2安打。8日のヤクルト戦では一時勝ち越し打となる適時打を放ち、9回2死満塁ではサヨナラ満塁弾かという特大のファウルを放って強烈なインパクトを残した。
さらに9日の同戦で途中出場すると、8点ビハインドの9回に右翼スタンドへ“プロ1号”となるソロ本塁打を放った。ここまでオープン戦で7打数4安打1本塁打2打点と結果を残し、1軍帯同も“延長”が決まった。ホークスの外野陣は多士済々ではあるものの、支配下昇格に近づいている1人だと言って過言ではないだろう。
そんな川村のアピールを嬉しそうに見ている人物がいる。昨季からファームで指導してきた小久保裕紀2軍監督だ。8日の深夜に川村から連絡があったことを明かした上で「嬉しいですねえ、ああいう活躍は。藤本監督が支配下がほぼ近いみたいなコメントを残してもらえるほどのインパクトだと思うんで、ここにいる選手たちにはものすごく刺激になっています」と、他の育成選手たちへの波及効果も期待した。
今季が育成2年目となる川村とは果たしてどんな選手なのか? オープン戦では守備面でも良いところを見せている川村の選手としての特徴を、小久保2軍監督が語ってくれた。真っ先に挙げたのは打撃面ではなく、守備面への評価だった。
ロングティーでバックスクリーン直撃の打球を放つことからチーム内で“ロンティーオバケ”のニックネームが付くほど。打撃面での印象が強いかと思いきや、小久保2軍監督は「スローイングは2軍ではダントツに、一番良かったですね。補殺が多かったと思うし、あとは走るタイミング、スチールするセンスがあるんで、そういう点では上でもそういう場面でアピールすればいいなと思うし。守りの面では不安がないんで、そういう点では1軍での最低ラインのスキルはあると思いますね」と明かす。
1軍の戦力になるためには打力以前に、必要最低限の守備力、走塁能力が必要になる。よほど突き抜けた打力がない限り、守る場所がなければ、1軍の戦力にはなれない。その点では、育成1年目だった昨季から「守りはあれぐらいやると思っていた」と小久保2軍監督が語る通り、川村はそのラインはクリアしていたという。
そして打撃面だ。「飛ばす力はもともとあります」と言うように飛距離は他の選手に比べて秀でていた。その一方で精度という面では課題があった。指揮官も「良い打球と悪い打球の差が激しい選手だった。練習であれだけ差があってはゲームでは打てないよ、という話をずっとしていた」と語り、一皮剥けるためには、この精度を上げる必要がった。
昨秋から一本足打法を取り入れてみたり、左腕の使い方を修正するなど取り組んできた。変化が見られ始めたのは春季キャンプの中盤だった。いつも打撃投手を務めてボールを投げる小久保2軍監督が変化に気付いた。「ほぼほぼキャンプの中盤以降、本当に打ち損じが少なくなってきていたんで、これはひょっとしたらと思ったら、いい状態のときに1軍に行った」。可能性を感じていたタイミングでの1軍合流のお声がかかった。
メットライフドームで行われる11日からの西武戦に向けた東京遠征のメンバーにも入った川村。どこまでアピールを続けられるか? そして支配下登録への切符を掴むことができるのか? ここからのプレーぶりにも注目だ。
(鷹フル編集部)