17日からB組に昇格 育成3年目・早真之介が中村晃に見た他を寄せ付けない“世界”

ソフトバンク・早真之介【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・早真之介【写真:上杉あずさ】

「晃さんは練習では1球1球本当に全力で振る」

 手応えを感じる春を迎えている。ソフトバンクの育成3年目・早真之介外野手は今季に臨むにあたり、確かな自信を胸に抱えている。2020年の育成ドラフト4巡目で入団した20歳は、走攻守にわたる身体能力の高さや広角に打てる打力が魅力の外野手。以前から「ガッツがある」「鍛えがいがある」というタフさもコーチ陣から評価されており、期待は膨らむ。プロ2年間は3軍が主戦場だったが、今年はまず2軍での台頭を目指す。

「飛距離もそうですが、打球の速さやスイングスピードも上がっていると思うし、理想として思い描いている“低い弾道で速い打球”というのが増えてきています」。プロ入りからの2年間で確かな成長を実感できている。その成長の背景には、大きな存在がある。

 今オフ、中村晃外野手の自主トレに弟子入り。「晃さんって試合ではそんなフルスイングのイメージがなかったんですけど、練習では1球1球本当に全力で振る。そういう所は自分が甘かったというか。そこまでの意識で振れていなかったなと思いました」。これまでも懸命に練習に励み、手を抜いたつもりもなかったが、第一線で活躍する先輩の姿を間近で見て、自身の甘さを身に染みて感じた。

 中村晃からの刺激を強く受けていることが、この春季キャンプで良く分かる。打撃練習でも1球への集中力の高さが感じられ、インパクトの瞬間には力強い声が響く。「晃さんは“世界”があるんです。『バッティング教えてください』とか言えないような“世界”があって、凄いんですよ」。普段は優しい中村晃だが、練習のスイッチが入ると他を寄せ付けぬ“世界”が広がるのだという。早も今まで以上に高い集中力で日々の練習に取り組み、自分の世界に入り込めるようになってきた。コーチ陣にも「迫力が出てきた」と言われるようになった。

 ただ、キャンプインして課題も出てきた。それが練習と実戦の違い。「コーチにもすごく良くなっていると言われて、自分もバッティングの感覚はいいんですけど、実際ピッチャーの球になってくると……。練習通りのバッティングではダメで、今は実戦で打てるようにどうして行くかというところを取り組んでいます」と試行錯誤しているところだ。

 現状は「身体を振っちゃうフルスイング。バットを扱えていないような気がする」と分析する。実戦になるとバットが遅れて出てしまうのだ。「小さく速くコンパクトにフルスイング出来るようにならないといけない。大きくスイングしていたら、当たる確率も低くなってしまうので、確率を上げたいです」と、新たに見えてきた課題とも向き合っている。

 今春は筑後キャンプからのスタートだったが、17日から宮崎でのB組へ昇格する。「いつでも行けるような身体の状態、バッティングの状態をしっかり作っています」と、常に宮崎に乗り込む準備と覚悟は持っていた。「今年1年は、支配下登録されるために2軍での結果が必要。2軍に定着しないといけないので、とにかく結果を残さないと。1、2年目はただ一生懸命やっていて、結果がついてきませんでした。この世界、結果を残すやつが残っていくとみんな言います。だから、結果にこだわってやって行きたいです」と強く語った。宮崎では2軍首脳陣にも成長した姿を見せなければならない。そして“結果”を残せるか――。早のアピールに注目したい。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)