「この人から学んだらきっと成長出来る」と又吉の自主トレに弟子入り
筑後からの“宮崎昇格第1号”の切符を掴んだ。「練習時間は長いですけど、1日があっという間に感じます」とキャンプの充実感を語る3年目の中道佑哉投手。2020年育成ドラフト2位で八戸学院大から入団した変則左腕は、リハビリ組に合流したマイロン・フェリックス投手に代わり、春季キャンプの第3クールからキャンプB組に合流することになった。
筑後でのC組スタートとなった中道は「変に焦らず、上に行ってすぐにアピール出来る準備をしている」と地に足を付けて日々を過ごしてきた。今オフは又吉克樹投手のもとで自主トレに励んだ。「身体の疲れというより、頭が疲れました」。左右は違えども同じ変則サイドスローで学ぶことは多かった。身体の使い方、動かし方、考え方など経験と知識豊富な先輩から多くの助言を受けた。
又吉からはキャッチボールの大切さも説かれた。それまでにも大事にしてきた部分ではあったものの、その意識はより高まった。「ラインを大事にしてキャッチボールをしています」。相手と自分を結ぶラインの中で投げることを心掛けているという。いい球を投げることはもちろんだが、相手の球をしっかりといい音で捕ることの大切さも伝えられたという。
さらに心に響いたのが「いい間違え方をしろ」という助言だ。又吉は「意図したところに意図したミスが出来るか」と、ミスがダメなのではなく、ミスが“いいミス”になるように練習することも大事だと教えてくれた。アウトコースに投げに行って、真ん中に入るミスはダメだが、ボール球になるミスは許容範囲。そうすれば、痛打を浴びる致命的なミスを回避し、もう1度、打者と勝負することができる。
「今まではここにちゃんと投げなきゃいけないと思っていたけど、いいミスなら大丈夫と思えたら、すごく楽になった」。中道はハッとした。いいミスになるようにするにはどうしたらいいのか、身体の使い方やタイミングについても助言をもらった。又吉の言動全てが心に刻まれたことで自信がつき、手応えも感じることができた。
もとはと言えば、昨年の春季キャンプで練習を共にしたのがキッカケだった。新型コロナウイルスの感染で出遅れ、筑後からのスタートとなっていた又吉は、FAで移籍してきたばかりだったにも関らず、積極的に若鷹とコミュニケーションを取っていた。キャッチボール相手となった中道は、又吉からどんどんアドバイスをしてきてくれたと当時から感激していた。「この人から学んだらきっと成長出来る」と感じており、このオフの弟子入りを志願した。
「又吉さんはコミュニケーション能力お化けです」と、改めて様々な面で凄みを感じる。「教えてもらった以上、ちゃんとしないと」と、結果で恩返ししたいというモチベーションも生まれた。3年目の今季は「支配下登録」や「2軍で結果を残す」ではなく、その先まで視野を広げて目標を掲げる。「1軍で活躍する」ために、第3クールからは宮崎でのB組でしっかりアピールする覚悟だ。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)