豪WL派遣は球団の期待の表れ 育成2年目左腕・三浦瑞樹が異国で得た経験と自信 

ソフトバンク・三浦瑞樹【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・三浦瑞樹【写真:上杉あずさ】

球団からの提案に一度は悩む「秋のキャンプでも体を鍛えようと思っていた」

 育成2年目を迎えるソフトバンクの三浦瑞樹投手が、昨年掴んだ手応えを覚悟に変え、1月の自主トレに励んでいる。ルーキーイヤーの昨季2軍戦で主に先発として11試合に登板し、4勝をマーク。3軍から結果を残し、シーズン後半には2軍の先発ローテで好投した。小久保裕紀2軍監督も堂々たるマウンドさばきを評価していた左腕だ。

 そんな三浦はこのオフ、ドラフト1位の風間球打投手と共にオーストラリアのウインターリーグにも参加した。ルーキーで、かつ育成選手でありながらのウィンターリーグ派遣は球団からの期待の表れ。ただ、三浦は一度、球団からウインターリーグ派遣の提案に悩んだという。

「最初は迷いました。秋のキャンプでも体を鍛えようと思っていたので。でも、いろんな人の話を聞いて、オーストラリアに行ってもトレーニングは出来るし、それでいて試合も出来ると聞いたので行くことを決めました。行って良かったです」

 1年間2軍と3軍でフル稼働し、課題は明確になっていた。これまで以上に体を鍛えないといけないと、秋季キャンプからオフシーズンに取り組むことを固めていた。そこにウィンターリーグ派遣という思わぬ話が舞い込んできた。“当初のプラン”は崩れたものの、異国の地で、それ以上に充実したオフシーズンを過ごすことになった。

 三浦が「明確な課題」と言うのは、真っ直ぐのスピードだ。ストレートは140キロ台前半が中心で、首脳陣からも「スピードが上がれば…」との評価を受けていた。球速を上げて“直球を磨く”ことこそ、三浦が支配下を掴むために求められていることだった。出発直前、若田部健一3軍投手コーチには「外国人選手は真っ直ぐしか待ってない」と発破をかけられた。そこでどれだけ真っ直ぐで勝負出来るか。ストレートを磨き、試すには絶好のチャンスだった。

 オーストラリアではメルボルン・エーシーズに在籍し、2人の捕手とバッテリーを組んだ。1人は本来の三浦の投球スタイルでもある真っ直ぐとチェンジアップを交えた配球だったが、もう1人は真っ直ぐ中心だった。それでも、真っ直ぐで押すことができ「球速も変わっていないにも関わらず、外国人選手が待っているストレートで空振りやファールを取れたのは良かったです」と手応えを感じて帰ってきた。

 2年目となる今季は「まずはキャンプで宮崎組に入り、A組に上がって、そこからはオープン戦に連れて行って貰えるようにアピールしながら、支配下を目指して頑張りたいと思います」と決意を込める。昨年末に寮を出て、福岡市内で一人暮らしを始めた。育成でありながら、筑後ではなくPayPayドームの近くを選んだのも決意の表れ。「今年からドームに自転車で通いたい」。まずは勝負のキャンプに向けて、闘志を燃やしている。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)