30日に正式に来季からの導入が発表されたソフトバンクの4軍制。選手育成、編成面で大きなターニングポイントを迎えることになるが、この4軍制導入に伴い、ファームでも事業面として、より大きな発展を目指していくことになる。
この日行われた会見で太田宏昭・代表取締役専務COOは「しっかりと事業を盛り上げていき、チームが強くなることをサポートできればと思っています。1軍から2軍、3軍、4軍と全部がそうですけど、会社としてやりたいと思っていることは『感動してもらいたい』『楽しんでもらいたい』。『感動の創造』が目指すホークスの考え方」と力強く語った。
球団が目指す形として太田専務COOは「触れ合い機会を多く設けたい。触れ合いながら、凄さ、格好よさ、楽しさを体感していただきたい。筑後の特徴は距離が近いこと。それを生かした事業をやっていきたい。4軍を導入するにあたって、触れ合いの場を多く設け、距離を縮め、多く接する機会を増やしていきたい」という。
その中で注目の取り組みが試合運営になるだろう。これまでタマスタ筑後では2軍と3軍を合わせて80から90試合ほどが開催されてきたが、来季以降は2軍、3軍、4軍合わせて140試合から150試合ほどの開催を目指す。サブ球場での開催は含めておらず、タマスタ筑後だけの開催で、サブ球場も含めればその数はさらに増える。
太田専務COOは「毎日とは言わないまでも、多くの試合がここに来れば見られる、練習している姿に触れられる環境を作りたい」と言う。2軍戦で開催されるイベントも強化し「1軍との差をなくしていけるようなイベント、興行、演出」を目指し、よりファンが見たくなるような魅力的な施策を考えていく。
また、2軍戦とは違い、3軍と4軍の試合では自由席を設けて、中学生以下の子どもは無料で観戦できるようにする。子どもたちが野球に気軽に触れられるようにすることが目的で「プロの選手が1軍に上がっていく、真剣に練習に取り組んでいる姿を多くの子どもに見てもらって、プロ野球選手になりたいと思ってもらう機会を多く作りたい」と太田専務COOは思い描く。
筑後に来ることのできないファンのために本拠地で行う3軍戦、4軍戦は「ホークスTV」で全試合中継する予定。試合中継にはコストやリソースもかかるため「カメラが何台もいて、スタッフもいては事業としては成り立たない部分がある。4軍の試合は全面自動化になるような取り組みを進めていきたい」と太田専務COO。ソフトバンクグループの強みを生かして、AIによる自動スイッチングの導入なども検討しながら、試合をファンに届けるプランだ。
そのほかにも筑後地域をより盛り上げるために地域連携を強化し、地域の小学校へ学習プログラムを提供し、運営体験などを通じて“学びの場”にしてもらう。「オフィシャル育成スポンサー」を募ることも検討しており「我々の手出しでやるのではなく、スポンサーの力を借りて事業にしたい。応援していただける企業様を募っていきたい」と太田専務COOは語る。
来季から新たな体制となるホークスの育成システム。事業面も含めて“新時代”を迎えることになる。